民主主義とは、「他の“定説”の存在を許容しつつ、自らの“定説”とが共存できる妥協点を見つける」立場である。

　民主主義が「定説」の存在を許容するのは、その「定説」が民主主義そのものを破壊しない場合においてだけである。民主主義そのものを破壊する「定説」を許容することは不可能である。「麻原尊師の説法は絶対であり議論を越えている。」とする「定説」すらも許容すれば、「地下鉄サリン事件」を行ったオウム信者を裁判にかけることはできない。

　それゆえ、民主主義は、民主主義における主＝「民」を拒否する宗教や思想を許容できない。異なる主権を主張する宗教や思想と「自らの“定説”とが共存できる妥協点を見つけることは可能である」なんてのは幻想である。

　それじゃあ、何故日本の警察は高橋氏のグループを日本の法律によって処罰しようとしているのか。「寛容」なはずの「民主主義国家」の日本がそんな「偏狭」なことをしていいのか。

　宗教ファンダメンタリスト、「日の丸や君が代を尊ばないひとは非国民」と言う人々は、「その“定説”以外の“異説”をつぶして“定説”だけにする」ことを目指している。

　Ｒ氏とはこれまで長々と議論したにもかかわらず、それがまったく役に立っていないのはこの一言から明かである。

　相手の主張を理解せず、あいも変わらずこういうレベルの低い決め付けを行うＲ氏の知性を疑うものである。

　まずまったく異なる立場のものを個々に検討を重ねることなくひとまとめにして論じる「言論の暴力」を改めたほうがよいだろう。

　「日の丸や君が代を尊ばないひとは非国民」と言う人々が、「うるせ〜、だまれ。俺の目を見ろ何も言うな〜。」と言い（日の丸や君が代を尊ぶべきだということに理屈は必要ないというのが彼らの『議論』である。実際に宣伝カーに乗っている連中はこのようなことを言う）、イスラム原理主義者が、「アラーアクバル！と言わない人間を剣にかけろ。」と言うとしても（ジハードという教理があるからイスラムは実際にやる。各地で勃発しているテロを見よ）、その他の宗教の原理主義者たちが同じようなことを言うだろうと推測することはできない。

　なぜならば、宗教と言っても、それぞれの教義を検討することなしに、「宗教とはだな〜・・・」という類の議論は、教養のない人間でもない限り行わないからである。

　キリスト教ファンダメンタリストたちが、「Praise the Lord!と言わない者を十字架につけろ。」と言ったのを聞いたことがありますか？

　「キリストに従わない人間は死刑だ、懲役だ、非国民だ。」とでも？

　キリスト教ファンダメンタリストというのが何を指しているのか分からないが（現代のキリスト教ファンダメンタリストはアルミニウス主義者であり私はその立場に属していないと繰り返して言いましたね）、いわゆるキリスト教ファンダメンタリストたちは、民主主義者であって、民主主義的な手続きを経ないで何らかの強制を行うべきだなどというトンデモナイことは言っておらないのですよ。

　じゃあ、キリスト教ファンダメンタリストの具体的な言葉、教義を示していただけませんか。

　それとも、私があなたと議論した中において、「国民の大多数が納得もしていないことを強制する権利がキリスト教にはあるのだ。」と言ったことがありますか？

　いいですか？

　私は、現在の日本や世界の諸国の法律を破ってまで、そして、民主的（語弊があるが）な手続きを経ないで、何らかのキリスト教の教義を国民に強制することができると言ったことはありません。

　聖書は、権威を敬うことを教えており、革命は罪です。

　暴力に訴えて、自分の意志を実現するために、権威を引きずり降ろすことは禁止されています。

　どんなにサウル王が悪王であっても、臣下のダビデは彼を殺そうとはしなかった。ダビデは繰り返し「私は神に油注がれた（任命された）人に手をかけることはできない。」と言った。

　だから、もし日本においてキリスト教にかなった法律が制定される場合、例えば「姦淫を行う者の最高刑は死刑である。」という法律が制定される場合、それは、国民の大多数がその法律に賛成していなければならない。つまり、現在の間接制議会民主主義の手続きに則って決定されなければならない。

　クリスチャンが首相となれば、議会を通り越して「姦淫罪」をごり押しして、国民の意思に反して、姦淫を行った者を死刑する、なんてことはあり得ない。

　いいかげん、理解してくださいな。