柔和な者は地を相続する

 

メシアニック・ジューの神学を非聖書的なものにしているのは、ディスペンセーショナリズムです。

ディスペンセーショナリズムによって、メシアニック・ジューは、「選民と非選民」という民族的な区別意識から解放されていません。

そのため、神は、メシアニック・ジュー運動の発展を祝福されるとは考えられません。

イエスさまを十字架につけたのは、政治的メシアを求める人々であり、ユダもその仲間でした。

彼らは、「選民である俺たちが異教徒ローマ人に征服されているのは、間違いだ。なんとか、この支配から脱することはできないものか。」と考えていました。

しかし、イエスさまは、「あなたたちは、ローマ人に手向かってはならない。暴力や革命、抵抗などの手段によって支配を達成しようとしてはならない。」と言われました。「右の頬を打たれたら、左の頬を向けなさい。1ミリオン行けと命じられたら、2ミリオン行きなさい。」

この御言葉において、イエスさまは、イスラエルの本当の回復の方法を示されたのです。それは、「倫理による支配」という方法でした。

福音書は、この原理で貫かれています。イエスを「イスラエルをローマ支配から解放してくれる政治的メシア」と見なしてついてきた血気盛んな弟子たちを前にして、イエスさまは、「あなたがたの上に立てられた権威に服従しなさい。謙遜を身に付けなさい。謙遜な者は地を相続するから。」「剣をさやに収めなさい。剣を取るものは、剣によって滅びる。」と言われました。

イスラエルが、ローマの支配下に下った原因は、「不従順」「律法違反」にありました。

申命記では、イスラエルが他国の支配を受ける真の原因について次のように述べています。

「私が、きょう、あなたに命じるあなたの神、主の命令にあなたが聞き従い、守り行なうなら、主はあなたをかしらとならせ、尾とはならせない。ただ上におらせ、下へは下されない。」(申命記28・13)

「あなたが、あなたの神、主の命令を守り、主の道を歩むなら、主はあなたに誓われたとおり、あなたを、ご自身の聖なる民として立ててくださる。…主は、あなたを敵の前で敗走させる。あなたは一つの道から攻撃するが、その前から七つの道に逃げ去ろう。あなたのことは、地上のすべての王国のおののきとなる。」(申命記28・9、25)

「あなたの息子と娘があなたの見ているうちに他国の人に渡され、あなたの目は絶えず彼らを慕って衰えるが、あなたはどうすることもできない。地の産物およびあなたの勤労の実はみな、あなたの知らない民が食べるであろう。あなたはいつまでも、しいたげられ、踏みにじられるだけである。…あなたのうちの在留異国人は、あなたの上にますます高く上って行き、あなたはますます低く下って行く。彼はあなたに貸すが、あなたは彼に貸すことができない。彼はかしらとなり、あなたは尾となる。これらすべてののろいが、あなたに臨み、あなたを追いかけ、あなたに追いつき、ついには、あなたを根絶やしにする。あなたが、あなたの神、主の御声に聞き従わず、主が命じられた命令とおきてとを守らないからである。 」(申命記28・32-33,43-45)


イエスさまは、ユダヤ人に対して、「あなたがたの惨めな状態は、契約を破ったからだ。だから、契約を守り、神の命令に従いなさい。それしか道はない。」といわれたのに、ユダヤ人は、そのような道を選択せずに、政治的解決、力による解放、革命を求めました。そして、このような革命を行ってくれると期待したが、それを行ってくれないイエスを十字架につけたのです。

それゆえ、私たちは、ユダヤ人の歴史的課題は、「力の宗教」を捨てて、「倫理の宗教」を受け入れることにあるということを学びます。

現在、イスラエル政府をはじめ、ユダヤ人は、力の宗教を信じ、ローマ軍に手向かって玉砕した「マサダの戦士」を崇敬しています。

2000年このかた、ユダヤ人は、自分の失敗の真の原因を見ようとせず、その解決策を提示したイエスを拒否しています。

イスラエルが本当に回復するためには、「イエスを受け入れ」「イエスが提示された倫理の宗教を受け入れる」しかありません。

彼らは、「力は、契約を守る者に与えられる」という聖書契約の原則に帰る必要があります。

ディスペンセーショナリズムは、このような解決策を教えてくれません。ディスペンセーショナリズムは、「ユダヤ人を中心とした世界秩序の再編」を唱え、武力による領土拡大をする現イスラエル政府を批判しません。来るべき千年王国は、再臨のイエスによる武力的、専制的支配であると主張します。

ディスペンセーショナリズムは、イエスの時代に失敗したユダヤ人の教えの継承者であり、それゆえ、神は、ディスペンセーショナリズムを信じるメシアニック・ジューを祝福なさるはずがありません。

私たちがもし、本当にユダヤ人の回復を助けたいならば、ユダヤ人に対して、「契約遵守による支配」「倫理を通しての支配」「謙遜を通しての支配」「武力ではなく、伝道と教育を通しての支配」を伝える必要があります。

「柔和な者は幸いです。その人は地を相続するからです。」(マタイ5・5)

 

 

03/02/02

 

 

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