偶然にあるたんぱく質が生成される確率

 

 20種類のアミノ酸が、偶然に、アミノ酸100個からなるある特定のたんぱく質を作り出す確率は、20の100乗分の1であるというと(参照『必要なたんぱく質を偶然に獲得する確率』)、「特定のアミノ酸同士の結びつきが高いから、確率はもっと高くなる」という人がいる。

 しかし、アミノ酸同士の結びつき方は、あくまでもランダムであり、その特定のたんぱく質を作り出す著しい傾向を示しているとは限らないわけだから、「ランダム度」にさほど変化はないと思われるがいかがだろう。

 つまりだ。

 必要とされるたんぱく質の構造と、そのアミノ酸同士の結びつき方とは、まったく互いに独立しているわけだ。そのアミノ酸同士の結びつき方が、そのたんぱく質をうまく作り出すことにプラスになるかマイナスになるかはわからない。もしかしてプラスに働くかもしれないし、マイナスに働くかもしれない。

 もちろん、プラスに働けば、その特定のたんぱく質が偶然に生成される可能性が高まるわけだから、その化学反応全体の成立にとっては益になり、それゆえ、偶然によって化学反応が成立したと言うことができるだろう。例えば、「このアミノ酸とこのアミノ酸との結合しやすさによってこのたんぱく質が偶然に生成され、その結果、化学反応が進み、ATPがうまい具合にできました」と。

 しかし、この逆もあるわけである。

 「このアミノ酸とこのアミノ酸との結合しやすさによって、求めていたたんぱく質が生成されず、その結果、化学反応が進まず、ATPがうまい具合にできませんでした」という可能性もあるわけである。

だから、特定のアミノ酸同士の結合のしやすさを根拠にして、偶然に特定のたんぱく質ができる確率を著しく高めることは不可能であろう。

 

 

 




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