バルトも評価できる?
>バルトはキリストを強調したという点で評価できるのではないでしょうか?
バルトは、根本において、(本人がどう言おうと)認識の出発点を神ではなく人間においていますから、そもそもクリスチャンとして出発点から「不信仰」です。いくら「神の言葉」「キリスト」を強調して繰り返しても、それは、我々が聖書から教えられた「神の言葉」「キリスト」ではなく、プラトン流の、「理想の世界」に住む実体のない「神の言葉」「キリスト」であり、「理想=現実」「形相=質料」「永遠=歴史」二元論から抜け出しておりません。
このような枠組みそのものが違うギリシャ思想を無理やり聖書の世界に持ち込もうとしても、土台無理があるのです。ヴァン・ティルの戦いは、ギリシャ起原の諸思想との完全な決別であり、その意味において、ヘーゲル流弁証論とキルケゴール流実存主義をキリスト教に持ち込んで、キリスト教を現代人に受け入れられるものに作り変えたバルトを絶対に受け入れてはならないというのが、ヴァン・ティルの立場だと思います