前千年王国説、後千年王国説、無千年王国説の違いについて

 

 

(1)前千年王国説:キリストの再臨(キリストが肉体をもって再び来られること)が、キリストの千年王国(すなわち、地上における世界的な福音と平和と義の支配の期間)の『前』にあるとします。ですから、キリストが再臨しない限り、この地上は、サタンの支配を許す以外にはなく、むしろ、キリスト教の働きは反キリストの出現によって覆され、再臨の前には大きな艱難が起こるとします。クリスチャンに対して「我々は再臨前の歴史過程においてけっして勝利することはない」という結論を持たせる以外にはない『悲観的終末論』です。

 

(2)後千年王国説:キリストの再臨が、キリストの千年王国の『後』にあるとします。福音の伝播と聖霊の救済の御業を通して世界がキリスト教化され、ついに、千年王国と呼ばれる義と平和の支配する期間が到来し、その終わりにキリストが再臨されます。クリスチャンに対して「我々は地上において勝利しつづける」という希望を持たせる『楽観的終末論』です。

 

(3)無千年王国説:世界が終わる前に、地上において千年王国と呼ばれる福音と義と平和の支配する期間は存在せず、歴史の中では、義と不義、キリストの支配とサタンの支配とはどちらも平行して発展するとします。キリストの再臨において、完成された神の国が到来し、サタンの支配は覆されるという点において他の説と同じですが、歴史の中においてクリスチャンの働きがサタンの支配を圧倒していくということはない、と考えるため、この説は前千年王国説と同じく『悲観的終末論』なのです。

 

 

参考文献:Loraine Boettner, "The Millennium", P&R, P.O.Box 817 Phillipsburg NJ 08865, 1984.

 

 




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