亡国の教育
今の中学校では、英語は、文法を教えず、ビートルズやカーペンターズの歌を覚えさせたり、会話ばかり教えているらしい。また、円周率は3にしたという。もしこれが事実ならば、日本は亡国への坂道を転がり落ちていると言ってよいだろう。
日本人が英語を6年間もならっても話すことができないのは、実践のチャンスがないからである。もし自分の国の公用語が英語で、ラジオやテレビのニュースが英語ならば、どうしたって英語が話せるようになる。インド人やアフリカ人が英語が話せるのは、彼らは国家の中に言語の違う多数の民族をかかえているからであり、国を統一させるには英語という公用語が別に必要で、それを日常的に話しているからなのだ。
日本人が英語を話せないのは、文法や構文の勉強をやったからではない。体験が少ないからなのだ。言語の習得の基本は文法と単語の知識である。
以前、NHKのフランス語ラジオ講座で、会話中心で初心者を教えるという教育理念を持つ教師が担当したが、毎日意味不明の会話を聞かされてすぐやめてしまった。文法の説明をしない。
「赤ん坊は意味不明の言葉をえんえんと聞いても話せるようになるから・・・。」と言うが、フランス人の赤ん坊がフランス語に接する時間と、日本で生活する人々がフランス語に接する時間とは比べ物にならない。そんな異国の環境において、フランス語をマスターしたいならば、文法から入るしかない。
小さな子どもに文法を教えても理解できないだろうが、中学生はそれくらい理解できる。
もし日本人の英語の実力を伸ばしたいならば、文法をきちんと教えるべきだと思う。
よく、高校でやる英語など古くて現在の英語では通用しない、とか言われることが多い。仮定法のIfを省略したHad I 〜の形など教えても無意味だ、と。
しかし、この文型の知識は読書をする場合欠かせない。新聞や雑誌など、また専門書など読むにはこの知識はどうしても必要である。
会話では必要ではないから…という理由でこのような知識が捨てられて行くならば、日本人はますます世界から孤立せざるを得ないだろう。英語ができるといわれるスウェーデン人やオランダ人やスイス人はこのような知識をきちんともっているからであり、彼らが英会話がよくできるのは、文法の知識、単語熟語の知識の上に体験が豊富だからである。
今の文部省で教育の内容を決めている人間は、10年20年先の日本を破壊している。
何百兆円もの借金をしても内部改革を行う勇気を持たない政治家やこのような知恵のない文部省を許している我々現在の選挙民は、自分の未来をつぶしていることをよくよく反省しなければならない。