為政者は神を恐れよ

 

 わたしの知人で医者のTさんは、無借金で老人医療施設を建てた。

 理想的な医療を目指していた。

 しかし、当局からの横槍が入り、天下りの役人を役員として迎えるように求められた。しかし、そのようなスタッフを受け入れることは、当局の管理の下に入ることになるので、断り続けた。

 これは、当局の怒りを買った。

 乗っ取りが始まった。

 まず、偽りの罪を着せられて訴えられた。新聞でも取り上げられ悪者に仕立てあげられた。

 裁判の間、経営はストップし、実質的に彼の計画は挫折した。

 背後に大物政治家が糸を引いているのは明らかであった。

 弁護士から、「生命を狙われることもある」と嚇かされた。実例があるからである。

 国家が、国内のすべてを支配下に置こうとするのは、珍しいことではない。権力にチェックが働かなければ、支配の欲望は際限無く拡大するものだ。

 聖書には、権力者が弱者の財産を奪い取る話が2つ記されている。

 一つは、ダビデが、部下ウリヤの妻バテシバを奪った話。

 もう一つは、アハブが、貧しいナボテの土地を奪った話である。

 どちらの王にも厳しい刑罰が下っている。ダビデの家庭はめちゃくちゃになった。家族のメンバーが互いに殺し合い、ダビデ自身も息子から生命を狙われることになった。息子アブシャロムは、戦いの中で死んだ。

 アハブは、戦場で非業の死を遂げた。

 為政者が神を恐れなくなり、弱者の権利を侵害するようになれば、神が直接為政者に刑罰を下す。

 政治家や当局者は、弱者の権利を侵害することによって、自分の身に神の刑罰を招くことを覚悟しなければならない。どんなに陰に隠れていても、神はその罪を明らかにし、白日のもとにさらけ出すだろう。

神を恐れぬ人間は愚かである。弱者の叫びは神のもとに届く。

 

 

 




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