「柔和な」とは、欄外注にあるように、「へりくだる」と同じ意味です。

　謙遜さはクリスチャンの特徴です。

　聖書では、２つの意味においてクリスチャンは謙遜であるといわれています。

　しかし、クリスチャンは、目を常に神に向けていますので、人間の間の尺度で自分を見ません。神の目から自分はどのような人間であるかということに注意を向けています。ですから、クリスチャンが善を行っても、ただ、「わたしはすべきことをしたまでに過ぎません。」と告白します。

クリスチャンは、御言葉の前に無条件にひざまずきます。「聖書に・・と書かれてある」と言われれば、有無を言わず「はっ、そのとおりにいたします。」と答えます。「そうは言ってもですねえ…」などと口答えをしません。神が言われたことを絶対の権威として従うことこそ、本当の謙遜です。

　クリスチャンは、神が存在するか、聖書は真理かについて疑いを持ちません。また、他の人々と対話する際に、神の存在とか聖書の権威を前提とするのではなく、白紙のところから、つまり、「神は存在するかどうかわからない。聖書が権威であるかどうかはわからない」というような立場から出発しません。クリスチャンは、神を恐れています。ですから、「神は存在する」「聖書は無謬の権威である」と信じ、その土台から出発してものを考えるようにします。

　どんなに人の耳ざわりのよい教えであっても、どんなに謙遜に見える教えであっても、それが神の不在を前提としていたり、聖書と矛盾するならば、断固として拒絶します。

「人が人を殺してもよいだろうか。だから死刑制度を廃止しよう」などという「いかにも謙遜で愛に溢れたもののように見える立場」を拒絶します。聖書は、死刑制度を認めています。聖書が認めているならば、クリスチャンは、有無を言わずそれを認めます。

　このような態度は頑固でしょうか。

　そうではありません。聖書と矛盾するようなことを主張し続ける人こそ頑固なのです。彼は、神が真理であると述べたものを、真っ向から否定するのですから、「神の目に」頑固な人なのです。人の判断とか人の正義感を基準にしようとする人は愚かであり、頑迷な人なのです。

このようにクリスチャンは、（１）罪人であることを自覚し、（２）御言葉に無条件に従う謙遜な人です。

さて、このような謙遜な人にはどのような報いがあるのでしょうか。

それは、「地を相続できる」という報いです。

この世の人々は、「力こそ地を確保する唯一の手段である」と信じています。

「お金の力」「人脈の力」「政治的権力」「人気」などを持つものが支配を拡大し、地を支配できると考えています。だから、政治家は、数を頼み、政治工作をします。人々は、できるだけコネクションをもつ人を利用して仕事を成立させようとします。

しかし、神は、「地を相続する者は、力のある者、金持ち、人脈を持つ者、人気者ではなく、御前にひざまずく謙遜な人である」と言われます。

ソ連時代のロシア人は、よく３本指を立てて、「日本と戦争すれば、これで終わりさ。」と言いました。つまり、３発の核爆弾を投下すれば、日本などすぐに降参させることができると考えていたのです。彼らは、パワー宗教の信奉者でした。世界に軍隊を派遣し、同盟国を増やすことによって世界を制覇できると考えていたのです。しかし、なんと、たったの７０年でその支配は終わってしまいました。神は、ソ連よりも強いお方なので、自分の腕に頼る者の高慢な鼻をへし折られたのです。

この世の人は、自分の力に頼りますが、クリスチャンは、神の力に頼ります。

　そして、神の力は、神の前にひざまずく者に与えられるのです。

これは、世界の歴史を見れば一目瞭然です。

バビロン、アッシリア、ペルシャ、メディア、ローマの異教の帝国は、ことごとく滅ぼされてしまいましたが、キリストの御国は滅びることなく、成長し続けています。

無神論国家ソ連は、教会を破壊し、多くのクリスチャンを殺しましたが、結局最後まで生き残ったのはキリスト教でした。世的な力は、柔和な者に勝てなかったのです。

最後に生き残る真の勝利者は、神の前に罪を告白し、聖書に無条件に従う者たちなのです。彼らは、地を相続し、世界を支配します。どんなに異教の王や国家が対抗しようとも、また、どんなに強い軍隊を持つ反キリストが世界支配をもくろもうとも、神は小指の先で、彼らを滅ぼしてしまわれます。そして、地を、へりくだる者におわたしになられるのです。

もしあなたが勝利者になりたいならば、もしあなたがこの世界で生存競争に勝ち残りたいならば、あなたは神の前に謙遜になるべきです。自分の知恵や力に頼るならば、あなたに未来はありません。今、神の前に罪を告白して、御言葉の約束を信じましょう。その時、あなたは、地を相続する者になれるのです。