世間体という名の呪縛 2

 

先に紹介した若者は、現代の日本に非常に多く見られる神経症、「ひきこもり」「対人恐怖」の一例のように思えます。

日本は、「一流大学」→「大企業」→「高収入」→「安定した生活」という一つの「幸福の道」を提供してきた。そして、そのレールに自らを合わせるために、一生懸命親も子どもも頑張ってきた。

社会の人々は、このような価値観を一つの宗教(日本教)とし、互いにはっぱをかけあい、批判しあって日本人を総日本教徒にしようとしてきた。戦後日本の成功もこの宗教を人々に確信させる大きな保証となってきた。

しかし、今、この宗教が崩壊しかかっているのです。

日本教には、無数の不文律があって、社会にアソビの部分がある成長の時代にはそれほど害はなかったが、最近のような安定期においては、この宗教の律法は、それに合わない人を残虐にも脱落者として切り捨て、人々をがんじがらめに縛るようになった。

登校拒否、ひきこもり、未成年者による異常事件などは、この律法の圧力に対する抵抗から起きているといってもよいでしょう。

最近、大企業が倒産し、銀行がガタガタになり、日本教を支えてきた成功神話が崩壊しつつあることは、一面において喜ばしいことです。

「真理は、暴風雨の中でも生き残り、偽りは、崩壊する」というのが聖書の教えだから(マタイ7章)、人々を騙してきた偽りの宗教は、次第に姿を聖書的なそれに変えていくことでしょう。

このT大生のように、社会の敷いたレールに乗りそびれた人々には、はっぱをかけることよりもむしろ、自分の本当の姿に立ち返らせ、自分の素直な願望にしたがって生きることを選択させるほうが治療効果ははるかに高いのです。

 

 

02/12/31

 

 

 ホーム

 



ツイート