19世紀から20世紀にかけて流行した社会福音がリベラル神学に立っているということを根拠に後千年王国説を批判することはできない。なぜならば、カルヴァン主義後千年王国説はリベラル神学に立っていないからである。あくまでも、カルヴァン主義後千年王国説は、聖書にのみ立って自説を主張している。だから、批判者も聖書からそれを批判しなければならない。

　聖書が、「御心が天で行われるように地上でも行われるように」祈ることを命じ、「全世界の国民、民族を弟子とせよ。」と命じている。

　これに対して、後千年王国説批判者はどのように答えるのだろうか。

　再臨のキリストが全部これらをやってくれるのだ、とでも言うだろうか。

　もしそれが事実ならば、イエスは「全世界の国民、民族を弟子とせよ。しかし、言っておく。それはあなたにはできない。あきらめてひたすら再臨を待つように。」と言ったということにならないだろうか。

　リベラル派の社会福音運動は、近代哲学の、人間理性の自律を前提として組み立てられたヒューマニズムである。

　我々は、あくまでも、創世記の「神はアダムに対して地を従えることを命じ、世界を神の御国となせとの命令が人間の本質的な存在意義である。」という主張を土台にしている。

批判者は、批判している相手の主張をよく知らねばならない。自分勝手に築き上げた謬説を批判しても、何にもならない。