放射分析法と進化

 

 放射分析法は、原理的に問題を抱えているという。

 

(1)測定すべき崩壊・損傷現象がスタートする以前に、すでに放射性元素が測定試料中にどれだけ存在していたか確認できない。
(2)測定すべき崩壊・損傷現象の速度が一定であることを証明できない。
(3)崩壊・損傷現象がスタートした以後、測定試料に放射性元素の出入りがなかったことを証明できない。

 

 ウラン/鉛法は、ウラン238(親元素)がアルファ崩壊(アルファ粒子が核種から放出されること)などによって次々に放射性変換を起こし、最後に鉛206(娘元素)に落ち付くという性質を利用して試料の年代を測定するものだ。ウラン238の量と鉛206の量がどれだけの比率で含まれるかによって年代が決定されるわけである。

 

 しかし、たとえ、ある試料にウラン238と鉛206がある比率で含まれていたとしても、その比率が試料の古さや新しさをそのまま示すわけではない。なぜならば、(1)その試料にはじめから鉛206がかなり含まれていれば、実際よりも古い年代が出てしまう。(2)現在の崩壊速度が過去においても一定であったという保証はどこにもない。(3)何十億年の長い間に、火や水などの作用によって試料中のウラン238や鉛206の量がどのように影響されるかは誰も分からないからである。

 

 事実、火山から噴出してからあまり時間が経っていないマグマを放射分析法にかけてみると、とんでもない結果が出ることがあるという。1986年、アリゾナ州地質鉱物局が、900年前に噴火したことが確認されている溶岩流の地質年代をカリウム/アルゴン法で測定したところ、21万年から23万年前という数字が出てきた。

 

 『地球物理学研究会報』1968年7月号では、西暦1800年に噴火したことが知られているハワイのファラライ火山の溶岩を、含まれる鉱物と包含物ごとに異なる放射分析法で調べたところ、1億4000万年前から29億6000万年前まで、12通りの年代が出てしまった。

 

 また、ハワイのキラウェア火山から200年以内に海中に流れ込んだと思われる比較的新しい同一の溶岩のサンプルをカリウム/アルゴン法で測定したところ、海面下4680メートルからの試料は2100万年前、3420メートルからの試料は1200万年前と出たのに、1400メートルからの試料だけは0年、つまり、新しすぎて測定不可能とめずらしく正しい数値を出た。

 

 また、アメリカのグランドキャニオンの地層の年代測定の結果は、放射年代測定法の欠陥を余すところなく示しているという。グランドキャニオンは、最下層の先カンブリア代から、最上部の古生代ペルム紀層まで、幾重にも積み重なる膨大な数の地層群を見せている。地質年代としては、10億年前から2億年前までの堆積層とされている。

 

 しかし、カリフォルニア州創造科学研究所地質学部のスティーヴ・オースティン教授が、カリウム/アルゴン法、ルビジウム/ストロンチウム法、鉛/鉛法にアイソクロン法を併用して調べたところ、方法ごとにてんでばらばらな測定結果が出た。方法間の最大測定差は、「カルデナス玄武岩層」では3億年、「ウィンカレット高原玄武岩層」ではなんと、26億年にも達している。カリウム/アルゴン法では1万年から1700万年と出たものが、鉛/鉛・アイソクロン法では26億年前と出たというのは、とても同一地層の測定であるとは思えないほどである。

 

 さらにひどいのは、最下層の先カンブリア代の地層よりも、最上層の古生代末期ペルム紀層のほうが、15億年以上も古い数値が出たことである。層位学上の時代順とはまったく逆の、堆積層の一番上が、一番下よりも15億年も古いという信じられない結果が出てしまった。この決定的な矛盾に対して、進化論・斉一論者の科学者たちは、測定法の欠陥よりも測定試料の不備をあげつらうだけで、それ以上のコメントには口をつぐんでしまい、事実上だんまり作戦を決め込んでいる。

 

データを解釈するのは人間である。そして、大多数の人間がある共通の信念を持っている場合、データはその信念を強化するために利用され、それは広く人々の間に受け入れらる。これは、どの世界でも同じである。科学者だからと言って、信念から完全に解放されているわけではない。しかし、あまりにも出てくる客観的なデータがその信念と矛盾する場合、その信念は次第に人々から疑いの目を向けられるようになり、疑いや不満が一定の限界に達すると、パラダイム・シフトが起こる。進化論は、今パラダイム・シフトの時期を迎えている。これだけ進化を否定するデータが出てくれば、だんまり作戦、証拠隠滅作戦、証拠偽造作戦では間に合わなくなるだろう。

 

 

参考・『地球史を覆す真・創世記』(南山宏著・学研・1998年)

 

 

 

 



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