再建主義とファンダメンタリズムの違い

 

再建主義がファンダメンタリズムであると考える人がいるかもしれない。

たしかに、聖書を誤りのない神の言葉であると信じるのであるから、大きな意味において再建主義はファンダメンタリズムであることはたしかだ。

しかし、現代のファンダメンタリズムはそのほとんどが、プレ・ミレの彼岸主義であって、我々の考えとは大きく異なる。

現代のファンダメンタリズムの特徴を示すスローガンは、「信条ではなく、聖書を。法ではなく、愛を。」である。

ファンダメンタリストは、「クリスチャンは、この死につつある世界について言うべきことはほとんどない。ただ、人々の魂をこの死につつある世界から(携挙か死によって)脱出する準備をするだけでよいのだ。」と唱える。

ファンダメンタリスト、デイブ・ハントは次のように語った。

「(1)もし我々がキリストと正しい関係にあるならば、我々は携挙の恵みに与れると期待してよいのだ。しかし、誰も(ゲッセマネの園におけるキリストですら)死ぬことを期待しない。携挙の恵みに与れるという希望は我々の心を引き付けるが、死という厭わしい未来を待ち望む者はいない。我々の日常の生活において、死はあまり魅力のないものなのだ。
(2)たしかに、携挙と死はどちらも我々の地上の生活を終わらせるものであるがゆえに、両者は互いによく似通っている。しかし、携挙には死とは異なる、特別な役割があるのだ。携挙は歴史のクライマックスであり、歴史の最後のステージを開く扉である。携挙は、死とは異なる方法で人間のすべての地上における成長や発展をストップする。子供の成長、富の蓄積(または散財)は中断し、社会的評判を守るための努力も不用になる。主義主張の宣伝ももはや無用だ。」(Dave Hunt, "Looking for that Blessed Hope," Omega Letter (Feb. 1989), p.14.)」

これは、ディスペンセーショナリズムの「焦土化作戦的伝道」である。すなわち、「携挙が切迫していることを人々に伝えよ!未来の世代に価値あるものを何一つ残すな!」と言う。

しかし、これは、聖書の伝道ではない。聖書が述べている福音とは、「携挙に逃げ込め!」というものではなく、「イエス・キリストは、世に勝利された!」というものだ。

ファンダメンタリストは、新しいクリスチャンが「はい。私は、イエス・キリストを自分の救い主として受け入れます。それでは、私は何をすべきですか。」と聞かれた時に、こう答える。「あなたがしなければならないのは、ただ友人や知人に、自分の身にどのようなことが起こったか証しすることだけです。」と。このようにして福音が人づてに伝わり、それは携挙の時まで続くという。

つまり、現代のファンダメンタリストは、福音伝道を巨大な「幸福の手紙ゲーム」と考えている。新しいクリスチャンは、ただ、自分に伝えられた幸福の手紙と同じものを次の人に伝えればよい。

さて、新しいクリスチャンは、それから具体的に自分がどのように世界と付き合っていくべきか教えられないので、途方に暮れてしまう。

教会において教えられるのは、「宗教に限定された事柄」――祈り、デボーション、伝道、賜物など――だけである。

我々の生活において密接に関わっている99%の「非宗教的事柄」――政治、経済、教育、芸術、文化、福祉、医療など――については、何も指導されずに放置される。

新しいクリスチャンは、「新しい創造」であり、自分が関わるあらゆる領域において、まったく作りかえられた存在であり、変革は、教会生活に限定されるべきものではないはずだ。我々の生活のあらゆる領域において我々は新しい考え方をし、新しい指導が必要なのだ。しかし、ファンダメンタリストは、「これらのことはキリスト教が扱うことではない」と言って、「非宗教的事柄」について新しいクリスチャンを指導できない。

現代の教会に男性が少ないのは、男性のニーズにこたえられる教えがないからである。男性は、女性よりも、より多くの時間を、「非宗教的事柄」に費やしている。教会は、社会全般についての聖書的教えを提供できないので、社会を担う働き盛りの男性はフラストレーションを感じる。

聖書は、あらゆることについて語っている。ヴァン・ティルが述べたように、「聖書はフットボールについても述べている」のだ。もちろん、直接的にフットボールについて述べている個所はない。しかし、フットボールについてどのように考えるべきか、原理は記している。

ファンダメンタリストによって、非宗教的であるとして退けられている事柄についての教えは、主に旧約聖書の律法に記されている。政治、経済、金融、法律、制度などについて、神は、律法を通じて語っておられるのだ。だから、旧約聖書律法を拒否することは、クリスチャンを文化的、社会的孤児としてしまう。

再建主義は、神が期待しておられる社会のブループリントは、聖書の中にはっきりと示されていると主張する。イスラエルに与えられた政治や経済についての教えのエッセンスは、全人類に適用されるべきだと唱える。

 

 

 

01/11/16

 

 

 

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