サタンの権威について
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ご質問>こんにちは、毎回たいへんご丁寧な返答をしてくださり、感謝しております。
富井さんの知識と聖書理解の深さにたいへん感服しています。
ローマ書
13章には「権威者はいたずらに剣を帯びているのではなく、神に仕える者として、悪を行うものに怒りをもってむくいるのです。」とあります。一方で、エフェソの6:12にはクリスチャンの戦いは「支配と権威」を相手にするものだとあります。ここの両者の「権威」というものは違うものなのでしょうか?新約聖書においては権威を表す言葉として「エクスーシア」というギリシャ語が使われるそうです。ここの両者の「権威」はこのエクスーシアと同じなのでしょうか?
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お答え>ローマ
13章の「権威」も、εξουσιαですし、エペソ6章12節の「権威」もεξουσιαです。前者は、神が地上を統治するために代理者として指名された国家に備わる「権威」ですが、後者は、サタンが持っている「空中の権威」です。「そのころは、それらの罪の中にあってこの世の流れに従い、空中の権威を持つ支配者として今も不従順の子らの中に働いている霊に従って、歩んでいました。」(エペソ
2・2)サタンは、ノンクリスチャンに対して支配権を持っており、彼らの考えや行動を支配しています。それゆえ、彼らはキリストの言葉に従うことができず、自分の欲望に従って神の戒めに従うことができません。聖書の教えが示されても、それを無視し、自分の理性に信頼しています。
彼らは自分が自由人であり、科学的な思考をする者たちであるかのように考えていますが、実際は巧妙に思考を誘導され、神を否定し、キリストを王として迎えず、自分たちだけで成り立つ世界を作ろうとしています。
クリスチャンは、キリストによって思考を支配されていますので、自分の自我を頑固に持たなければ、真理に導かれます。本当のクリスチャンは、聖書の教えを素直に受け入れ、正しい教えと間違った教えの区別ができます。サタンに支配されていないからです。
クリスチャンは、この「空中の権威」を持つサタンと闘い、キリストの御心に従って行動しようとします。サタンが自分の手下を使って世界を乗っ取ろうとするならば、それに対抗してキリストの支配を拡大しようとします。サタンに従う人生は破滅の人生であり、人生そのものは空虚で、失敗です。世界は創造者のために存在するのに、創造者の意志を無視しているからです。創造者の意図に沿わない行為はすべて空しいので、サタンに支配された人生とはまったくの無意味な人生です。
しかし、キリストを信じる時に、我々はサタンの支配から解放され、その人生は空虚ではなくなり、意味のあるものに変わります。創造者の役に立つからです。
自我を押しとおして、聖書を無視するならば無意味な人生になってしまいますが、そうではなく、聖書に従ってすべてのものを判断し、行動しようとするならば、「すべてが益となり」ます。
神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。(ローマ8・28)
02/03/05