科学はキリスト教的世界観から生まれた
朝日新聞
5月2日夕刊に「日本の科学受容に問題--総合的な観点に欠ける」という題で、渡辺正雄東大名誉教授の文が紹介されていた。以下引用。
「科学とは、西洋の思想・文化、具体的にはキリスト教的世界観が生み出したものです.この世界を神の被造物と見て、自然を神のみわざを読み取ることができる「第二の聖書」と信じ、深求を積み重ねることで科学が誕生し、発展してきた。自然に没入し、自然と一つになろうとする日本の伝統からは、そもそも近代科学は生まれなかったのです」「その日本は明治以降、西洋からの科学の導入にあたり、技術や実用面だけを重視し、科学が生んだ精神や文化への理解をなおざりにした。切り花的に輸入しただけで、科学と人間、伝統文化との関係に対する歴史的・総合的観点が欠けていた」
それは、最近の茨城県東海村の臨界事故などにも通じるという.「総合的観点の欠如により、本来人間のための道具であり、人類共通の福利を増進させるはずの科学技術が、人間より優先される本末転倒が今も続いているんです」