北方領土
ロシアが北方領土を返還しようとしないのは、「領土とは、戦争によって力づくで勝ち取るものだ」という常識があるからだと思う。
力づくで勝ち取ったものをみすみす手放す馬鹿はいない。
現代の国際関係は、領土獲得→植民→産業→収税という帝国主義の図式ではなく、貿易取引で富を獲得することによって成立しているのに、いまだに19世紀の常識に縛られているのがロシア人の愚かさなのだ。戦争によって膨大な領土を獲得し、有り余る天然資源を持ちながら貧困のどん底にあえいでいる自国の惨状と、ほとんどの資源を外国に頼りながら自由貿易によって世界第1位の外貨を獲得した日本と比較してみればよいのだ。
ボーダーレス化が進んでいるこの時代において、領土に固執することをやめて、実利を取るべきである。
北方領土をもちづづけることと、日本との貿易から受ける利益とを秤にかけてみたら、どちらが得か。
何もサハリンまでと言っているのではない。北方四島に何があるといのだ。地下資源や水産資源か?
そんなものよりも日本と貿易をし、極東に日本の投資を促すことによって、沿海州全体に産業が起こり、世界に伍していける商品を輸出できれば、そんなチンケな天然資源から得られる利益などふっとんでしまうだろう。
日本政府は、ただ返せ返せと叫ぶのではなく、北方領土を返還することによって得られる利益を根気強く説明すればよい。