人間を信頼するシステム
大衆文化に市民権を与えたのは、共産主義である。
共産主義のパラダイムにおいて、大衆は貧しく美しい純朴な性格を与えられている。
映画「男はつらいよ」に出てくる庶民はその典型である。
登場人物は異様に純朴で善人である。
監督の共産主義思想の反映であろう。
共産主義の前提は、純朴で善人の大衆が支配すれば、世の中はよくなるというものだが、これまで大衆が支配して世の中が変わったためしがない。
人間は、どの階層をとっても、罪人の集団である。
ある階層を無垢とするのは、現実を誤解するもとである。
ポル・ポトは、子供を無垢と考え、子供に支配させたが、失敗した。
現実とは異なる世界を描いて、それに世界を無理やり当てはめようとすると、人為的な人間の美化と強制、虐殺しかない。
聖書は、最初からそういった人間像を拒否している。
人間はどの階層をとっても堕落している。
人間を信頼することはできない。
最悪に備えなければ、システムは機能しない。
「われわれがやって、臨界が起こるはずはありません。」
「はいそうですか。」
という官民の馴れ合いが先日の事故の原因であった。
「最悪に備える」という思想の欠如が共産主義の最大の欠陥である。