物理学者ジョージ・ガモウは、宇宙は最初、超高温高圧の小滴から始まったと述べた。この原始卵――ylemと名づけられた――は爆発し、拡大する中で温度が低下していった。ロバート・ジャストロウは、ガモウの理論をまとめて次のように述べた。
存在の最初の数分間において、温度は数百万度にもにもなり、その小滴の内部の物質はすべて基本的な素粒子――電子、中性子、陽子など――から成っていた。…ビッグバン理論によれば、92の元素すべてが宇宙の開始から30分以内にこのようにして形成された。
(Robert Jastrow, Red Giants and White Dwarfs(New York: New American Library, 1969), p. 69; cited by Gary North, Dominion Covenant, p. 374.)
我々は、宇宙は確率の法則によって支配されていると教えられてきた。
宇宙はこの法則によって進化しているという。
そこで、チャールズ・ユージン・ガイ博士が、原子がランダムに集まって、最少の原子(炭素、水素、窒素、酸素)からなるたんぱく質分子1個を作る確率を計算した。注意していただきたいのは、博士は、92元素全部の成立や生命の誕生の確率についてではなく、「単一のたんぱく質分子」の成立についてだけ計算したのである。
その結果、偶然の作用によって、たんぱく質分子1個が生まれるのに必要な原子の集合は、その中心から出発した光が10の82乗年かかってやっと表面にたどりつくほど巨大な球体になったという。しかし、現在の推定では、宇宙の大きさは、半径10の9乗光年である。
地球の大きさの天体において、偶然にたんぱく質分子1個ができることを期待すると、10の243乗年かかるという。地球の年齢は、10の9乗年といわれているので、生物の進化の動因を偶然に求めることがいかに愚かかがわかる(Lecomte du Nouy, Human Destiny (New York: Longmans, Green, 1947), p. 34; cited ibid., p. 375.)。
現代の科学者は、ガイの推定を否定し、依然として聖書の創造の記述を、原始的なユダヤ民族が作り出した神話と考えている。
宇宙が原子のようなもののランダムな活動から生じたという説は、古い歴史がある。それを最初に説き、発達させたのは、エピキュロスとデモクリトスである。
宇宙の起源に関して、現代の科学は古代からほとんど発展していない。