聖書の「全世界」の2面性
旧約聖書の地理的広がりは、アッシリア、バビロニア、エジプト、など、さらに、創世記11章の系図、歴史書、イザヤ書などが扱う「ソロモン船団がもたらした様々な宝物の産地」(*)「東の島々」「離散ユダヤ人の居住地」など、まさに、今我々が考えている「全世界」をも表すと解釈することも一概に否定できない地域も含まれていますので、わたしは、「全世界」は、2面的に理解すべきではないか、とも考えます。
つまり、
(1)パレスチナを中心として当時のユダヤ国の人々がまっさきに思い描く「全世界」、すなわち、ローマ帝国。使徒2章において、記された人々の出身地。
(2)ユダヤ人の捕囚地、交易地、離散ユダヤ人の居住地としての、「全世界」。
(*)
「王は海に、ヒラムの船団のほか、タルシシュの船団を持っており、三年に一度、タルシシュの船団が金、銀、象牙、さる、くじゃくを運んで来たからである。…全世界の者は、…ソロモンに謁見を求めた。」(1列王記10・23)
この「全世界の者」の中に「シェバの女王」(2歴代9章)も含まれていました。
「シェバ」は、アラビヤ半島南西部、今のイエメンあたりで、ローマの版図には入っていません。
「象牙」や「さる」「くじゃく」は、アフリカを連想させます。
2004年1月14日
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