国には事業させるな
(1)
道路族と呼ばれる議員たちが、国民に約束した残りの高速道路は必ず作らなければならない、と言っているそうだ。
また、消費税も上げる必要があるとも。
国の経済とは、一つの家や会社と同じように、独立採算のシステムであるから、収入が少なくて無駄遣いが多い場合、倒れてしまう。
だから、倒れてしまわないためには、収入を増やして支出を抑える以外にはない。
今、我々有権者に必要なのは、政治家に対して、「収入が減っているのだから、支出を抑えろ」とはっきりいい、守らない場合には、選挙で落とすことである。選挙民がこのような審判を下さないと、ムチャクチャ言う政治家が生き残って、国の経済が破綻することになる。
そもそも、国民の収入の半分を取ってもやっていけないなどということ自体がおかしいのだ。
国民が黙っていると、70%取られてもまだ、彼らは「破綻しそうだ」と言うだろう。
福祉国家が生まれてまだ100年しか経っていない。まだ実験段階なのだ。そして、結果はいろいろな国で出ている。まずソ連をはじめに次々と社会主義国が滅んだ。資本主義国でも、1980年代にアメリカ、イギリスが制度改革に乗り出して、規制緩和、税制改革、支出削減を行った。しかし、福祉国家そのものを止めようとは思っていない。
(2)
国は一つの会社や家庭と同じで独立採算なのだから、今の予算の立て方ではいずれ破綻する。
各メンバーから必要な物を申告させ、それに必要な金額を割り振って予算を立てる家がどこにあるだろうか。
しかも、いったん申告した金額よりも支出を低く抑えることができたメンバーには、翌年には、前年よりも低い金額を割り当てるというペナルティを課す家なんてあるだろうか。
節約するメンバーを罰する家が生き残れるだろうか。
「まず必要ありき」という理念が先行する経済は破綻する。
「まず支出できるお金ありき」でなければ。
その支出できるお金に合わせて各メンバーが必要なものを買うのでなければ。
どんなに国民に約束したとしても、国の経済が破綻しそうなのであれば、約束を反故にしても責められることはないだろう。
道路族の政治家の言いなりになってはならない。
(3)
しかし、現在、国の経済を圧迫している問題は道路よりも福祉である。
今日、「福祉切り捨て」は政治生命をも揺るがしかねない脅し文句だ。
福祉を充実する政治家や地方自治体は尊ばれる。
これは罠である。
国が福祉に関わると支出が増えるのは当然だ。
そもそも、何をやらせても、コスト感覚がない人間が金をいじってはならないというのは大原則だろう。
鉄道や道路を任されて巨額の赤字を出した団体に、福祉を任せてうまくやれると思うか?
国有でやってうまく行ったなどという事例があるか?
我々国民がなすべき選択は一つしかない。
「国に金を任せるな」ということだ。
どのような分野であれ、国に経営を任せてはならない。経営ができるのは、短いタームで結果をシビアに問われる民間だけだ。
これは福祉についても同じだ。
国に福祉を任せれば、そこに甘い汁を吸おうとする取り巻きがたくさんフジツボのようにふっついて、重くなって沈没するだろう。
国に任せられるのは、聖書が述べているように、防衛と警察と裁判所だけだ。
我々の収入の40〜70%を奪ってもやっていけない団体に事業を任せてはならない。
2003年11月30日
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