ディスペンセーショナリズムこそ反ユダヤである
(1)
ディスペンセーショナリスト、ハル・リンゼイは、『ホロコーストへの道』において、「再建主義は、預言においてユダヤ人にすぐれた地位を与えていないので反ユダヤである」と批判した。
しかし、実際のところ、反ユダヤなのは、むしろ、ディスペンセーショナリズムのほうなのである。
なぜならば、彼らは、イスラエルの建国→携挙→イスラエルのユダヤ人への迫害→再臨という道筋で歴史は進むと考えているからである。
反キリストによるユダヤ人迫害は熾烈を極め、イスラエル人口の3分の2が虐殺されると言う。この大迫害の中でのみユダヤ人は回心し、イスラエルへの契約は成就するのである。
このような教えは、聖書的ではない。なぜならば、それは、暗黙のうちに、ユダヤ人が虐殺されることを運命として認めているからである。
クリスチャンは世の光、地の塩である。虐殺者から無辜の人々を救うべき者である。しかし、もし「ユダヤ人は虐殺される運命だ」と信じていたら、虐殺が始まっても、それに歯止めをかける論理的な理由を見出すことができない。自分がユダヤ人を助けることによって、ハルマゲドンが遅れ、その結果再臨も遅れることになるからである。
イエスは、「すべての造られた者に福音を伝えよ」と言われた。聖書全体の主張は、「無実の人々の命を救え」ということである。
ディスペンセーショナリズムの大患難前携挙説は、聖書全体の主張と大きく矛盾する教えである。
(2)
また、この教えは、大患難時代においてのみイスラエルのユダヤ人が回心すると信じるので、それ以前の時代におけるユダヤ人伝道を鈍らせる結果となっている。
ディスペンセーショナリズムの伝道団体はイスラエル国にいるユダヤ人への伝道を渋る傾向がある。イスラム圏に向けては伝道放送番組があるのに、イスラエルに対してはない(G.North, Rapture Fever, 1993, ICE, p.36)。
彼らは、Jews for Jesus やメシアニック・ジューのような組織的キャンペーンを行っておらず、イスラエル国外に住むユダヤ人に対しては熱心に伝道するが、イスラエル国内のユダヤ人にはそうしない。
なぜか。
イスラエル国のユダヤ人が携挙前に回心すると、再臨がなくなってしまうからである。
彼らは、迫害の最中において「自分達が突き刺した者」の威光を見て、回心するはずだ、と考えているからである。
しかし、聖書には、このような、ある特定の民族への伝道を躊躇させるような教えはない。
「…確かに、今は恵みの時、今は救いの日です。」(2コリント6・2)
あらゆる民族にとって、今は恵みの時、救いの日なのである。
ユダヤ人迫害を止めず、ユダヤ人伝道を妨害するような教えがサタンに由来するのは明らかである。
2003年09月14日
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