ブッシュはイラク戦争で「便利な白痴」だったのか?

 


ワシントンポスト紙(Tuesday, July 22, 2003; Page A17)コラムニストのリチャード・コーエンが 『信仰者ブッシュ――ジョージ・ブッシュはイラク戦争で「便利な白痴」だったのか?』という記事で興味深いことを語っているので要約してご紹介します。
http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A26010-2003Jul21


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「便利な白痴」とは、ウラジミール・レーニンが、共産党の公式見解を何でも真に受けるシンパに対して名づけた名称である。彼らは、言われたことを何でも信じてしまう。しかし、その大半は真っ赤なウソである。

ブッシュは、サダム・フセインが本当に核兵器を所有しようとしていると考えていた。彼は、フセインが他の種類の大量破壊兵器を所有しており、オサマ・ビン・ラディンやアルカイダ、そして9・11事件と何らかの繋がりを持っていると信じていた。

しかし、証拠はどこにもない。大量破壊兵器の証拠も見つかっていない。高度に進んだ核武装計画も、ふたを開けてみれば、高度でもなんでもない。挙げられた証拠はどれをとっても、信憑性に欠け、人を説得するのにはまったく不十分だ。アルカイダとの関係を示す証拠は、ラムズフェルドの言葉を用いれば「銃弾に耐えるほど確か」なはずだったが、まったく不確かで、意味をなさないものばかりだ。

我々にとって、本当の謎とは、「ブッシュ自身は、これらの証拠がいかに薄弱であり、先制攻撃をかけるにはあまりにも頼るに値しないものであるということを本当に理解していたのか、それとも、彼は、長いことイラクとの戦争を望んでいた補佐官たちの口車に乗せられただけなのか」ということだ。

これらの補佐官たち(ラムズフェルドやウォルフォヴィッツら)は、1998年にクリントン大統領に「アメリカはイラクの封じ込め政策を止めて、『サダム・フセインを政権から排除すべきだ』」と訴える手紙を出していた。ラムズフェルドは、9・11事件以後ホワイトハウスでもたれた最初の会合で、イラク攻撃を主張した。

ブッシュは物事を白と黒にはっきりと分けて考える人間なのだと思う。もう少し確実な大義名分が見つかる可能性があったにも関わらず、彼は、それ以上の議論を拒み、「フセインが我々を攻撃する前に、イラクを叩け」という感情的なスローガンに走った。

あの戦争は、まだ待つ余裕があった。しかし、ブッシュは待たなかった。周到な準備を嫌う非クリントン的な手法が、彼を迷路の中に導きいれた。先週、労組問題に関するメッセージの中で、ブッシュが根拠の弱い証拠を挙げた際に、補佐官は、マスコミに向かって「大統領は、『事実を確認するタイプの人ではない』から」と弁解した。

現在、ブッシュは、次々と明るみに出る事実を前にして、完全に見捨てられた状態にある。大量破壊兵器も、核武装計画も、アルカイダとのつながりも、何も証明されていない。今や、彼の判断と能力に疑問符が打たれようとしている。そして、誠実さにも…。

しかし、ブッシュは、けっしてウソつきではない。彼は、単に、言われたことを何でも信じる、レーニンのお気に入りのタイプなのだ。

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2003年07月24日

 

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