パレスチナの土地問題の真の鍵は霊的回復にある
(1)
本日発信の「シオンとの架け橋」によると、「米国のクリスチャン指導者パット・ロバートソン師が『大統領がエルサレムを分割するなら来年の選挙では支持しない』と警告した」という。
周知のように、アメリカのファンダメンタリストクリスチャンを支配しているディスペンセーショナリズムのプレ・ミレは、イスラエルの地を聖地と信じており、アブラハムの領土預言が絶対に成就するはずだと信じている。
もちろん、アブラハムの領土預言は成就しなければならないのである。
しかし、それは、すでに成就したのである。
イスラエルの王キリストは、世界の王となり、「天においても、地においても、一切の権威が私に与えられている」と言われたのである。つまり、世界の全地は私のものだ、と宣言されたのである。
もし、キリストにおいてアブラハム預言が成就していないとすれば、神が「この地全部を、永久にあなたとあなたの子孫に与える」(創世記13・15)といわれたのは、ユダヤ人が世界に散らされてからパレスチナ復帰するまでの2000年間は、外れたということになるのである。神の言葉が外れることがあるだろうか。
ユダヤ人が世界に散らされた時に、ユダヤ人が入っていた契約の中に異邦人も入ったのである。そして、この契約の主は、全世界の主でもあると宣言されたのである。
契約はイエスの時代において後退したのではなく、完成したのである。だから、土地預言についても、離散以降失われたとか後退したとか考えることはできない。
たしかに現象的に見れば、この2000年間、パレスチナは異邦人に牛耳られてきた。しかし、それは現象面の話である。聖書は、「イエスはパレスチナの土地の所有者である」と宣言したのであるから、現象面を見て「まだアブラハム契約は成就していない」と判断すべきではないだろう。我々は、信仰の目によって「アブラハムに約束された土地はキリストにおいて獲得された」と信じるべきだ。
(2)
プレ・ミレのアメリカファンダメンタリストは、アブラハム土地預言を文字通り成就しようとしている。そして、それをアメリカの大統領を動かしてすらやろうとしている。
しかし、これは、結局武力による制圧という形を取らざるを得ない。
これは、イエスを十字架につけた当時のユダヤ人の考え方であり、剣を取り出して切りつけたペテロや熱心党の考え方、つまり、民族主義的革命思想である。
イエスは、「剣をさやに収めよ」と言われ、武力による領土獲得を不正な手段とされた。
イエスが提示された手段は、「服従を通しての支配」である。「1ミリオン行け、と言われたら2ミリオン行け」、「右の頬を打たれたら左の頬を向けよ」というやり方である。
「謙遜な者は幸いである。地を相続するから。」というやり方である。
契約を守る者にのみ、相続が与えられる、という「契約的考え方」である。
(3)
ファンダメンタリストは、プレ・ミレにしたがって、今後、千年王国が到来し、ユダヤ教の復活が起こり、文字通りの国土が回復し、そこにおいて、再び犠牲制度が復活するという。
しかし、このようなシステムは、2000年前に廃棄されたのだ。その代わりに、キリストが犠牲となり、世界の王となられたのだ。
パレスチナの土地が回復されるとするならば、それは、旧約時代の経綸が回復されたからではなく、「ユダヤ人の霊的回復の証拠」と考えるべきだ。
つまり、そこが再び聖地となり、他の地が俗地となる、という形ではなく、「神が契約の中にユダヤ人を回復してくださったので、土地という意味でも回復が行われた」ということなのだ。
もし、クリスチャンホームの子弟が信仰から離れていたのに、再び教会に帰ってきたら、彼をどのように扱うだろうか。霊的な回復が行われているからそれでいいじゃないか、というわけにはいかない。教会の籍を回復し、聖餐に与からせるだろう。彼を再び教会員とみなして、仲間として迎えるだろう。
それと同じように、ユダヤ人が霊的に回復したら、神は、そのしるしとして物質面でも回復してくださるのである。
それゆえ、パレスチナの土地問題を武力や政治によって解決しようとするのは間違いである。
我々クリスチャンがしなければならないのは、イエスをメシアとして向かえるように祈り励ますことである。ユダヤ人が民族として回復したならば、神は彼らが元通りに復帰したことを土地という面においても表してくださるだろう。
我々は、問題を契約的に考えるべきだ。そうすれば、自ずからパレスチナ問題も解決するだろう。
2003年09月05日
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