人は信じるだけで100%救われるのか?

 


「人は信じるだけで100%救われる」という考えが今日主流です。

人は信仰のみによって救われるという言葉自体に問題はありません。また、人間の行いは、その救いの実であるのも、事実です。

問題は、「信仰」という言葉です。

パウロは、信仰とは、「イエスを主と告白する」ことであると述べています。

「なぜなら、もしあなたの口でイエスを主と告白し、あなたの心で神はイエスを死者の中からよみがえらせてくださったと信じるなら、あなたは救われるからです。 」(ローマ10・9)

今日の教会は、たしかにイエスを告白することはしますが、実質的には、「主と告白」していません。

学問、政治、経済など様々な領域において、ノンクリスチャンの意見を丸ごと受け入れているというのは、実質的に「イエスはその領域において主ではない」と告白していることと同義です。

それゆえ、私は、「イエスの贖いを信じるだけで100%救われる」という考えには賛同できません。

ディスペンセーショナリズムの教会でも、教会員は、「イエスの贖い」を信じています。しかし、今日律法は無効であり、それゆえ、クリスチャンは神の法から解放されている、と考える無律法主義は、実質的に、「イエスを主と告白」はしていません。

イエスは、「主よ。主よ。という者が御国に入るのではなく、御心を行う者が入る」とはっきりと述べておられます。

「わたしに向かって、『主よ、主よ。』と言う者がみな天の御国にはいるのではなく、天におられるわたしの父のみこころを行なう者がはいるのです。 」(マタイ7・21)

パウロは、特定の罪を犯している人が救われると考えてはならない、とはっきりと述べています。

「あなたがたは、正しくない者は神の国を相続できないことを、知らないのですか。だまされてはいけません。不品行な者、偶像を礼拝する者、姦淫をする者、男娼となる者、男色をする者、盗む者、貪欲な者、酒に酔う者、そしる者、略奪する者はみな、神の国を相続することができません。 あなたがたの中のある人たちは以前はそのような者でした。しかし、主イエス・キリストの御名と私たちの神の御霊によって、あなたがたは洗われ、聖なる者とされ、義と認められたのです。 」(1コリント 6・9)


つまり、問題は、「イエスを主権者として認め絶対服従の意思を持っているかどうか」という点にあります。

もし、「絶対服従の意思」がなければ、いくら「贖いを信じ」ていても救われません。

四福音書は、このことを明確に述べています。


自分のいのちを自分のものとした者はそれを失い、わたしのために自分のいのちを失った者は、それを自分のものとします。 (マタイ10:39)

自分のいのちを救おうと思う者は、それを失い、わたしのために自分のいのちを失う者は、それを救うのです。
(マルコ9:24)

自分のいのちを救おうと努める者はそれを失い、それを失う者はいのちを保ちます。 (ルカ17:33)

自分のいのちを愛する者はそれを失い、この世でそのいのちを憎む者はそれを保って永遠のいのちに至るのです。(ヨハネ12:25)


今日の教会が告白している「信仰」とは、キリストの主権を無視し、ただ自分の永遠の生命について保証を得るだけの、「ご利益宗教」の「信仰」であって、正統的・歴史的な教会が告白してきた「信仰」ではありません。


教会員は、ただ恵みを求めて集まる「恵まれたい病」の患者であり、自分から進んで神の御国のために役立ちたいと考える者はまれです。

もし「贖いを信じれば100%救われる」が、正統と異端を分ける規準であれば、キリスト教とは、ご利益宗教になります。

キリスト教は、アブラハムの契約、モーセ契約の延長にある契約の宗教であり、「御国の実現」を求めるものです。

もちろん、御国とは、「神を主権者としてあがめる国」です。

その中に、「自分を主権者とする者」が入る余地などまったくありません。

キリストを信じる者とは、「私は不完全な汚れた人間ですが、あなたの栄光と御国建設のために最善を尽くしてがんばるので、日々赦してください。」と告白できる者です。

「私は不完全な汚れた人間です。あなたの栄光と御国建設のために最善を尽くしてがんばるつもりはありませんが、日々赦してください。」という人間は追い出されます。

主の祈りは、まず、「御名があがめられること」「御国が来ること」「御心が天で行われるように地上でも行われること」を求めることから始まります。

イエスを主権者として認めない限り、このような祈りを心からささげることはできません。

聖書が教えるクリスチャンの特質とは、徹頭徹尾、神中心であり、それゆえ、今日の教会が唱えている「イエスを主としなくても救いに与れるという信仰」は、異端の信仰であると考えます。


 

 

2003年05月01日

 

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