カルケドン・レポート第28号(1967年12月1日) by R・J・ラッシュドゥーニー
1966年4月のニュースレター第7号において、「私有財産と憲法による保障が徐々に剥奪されている状況」について短く論じた。本号では、「経済的没収」について論じよう。
経済危機に関する調査にしたがえば、クリスチャン的に見て、現在の政策は明らかに愚かである。連邦政府が銀の価格を管理するなんてばかげているし、有害である。金の非現実的な価格は同様に我々にとって有害である。「奴らは自分がやっていることが分かっているのか?」という疑問が幾度となく湧き上がった。その答えは、明らかに「イエス」である。我々が今経験しているのは、「計画された愚行」であり、その目標は「没収」である。
マルクス主義経済の明確な目標は、「財産の没収」である。その目標は、共産主義経済の確立であり、自由な私有資本の破壊である。しかし、これは、ケインズ学派・新ケインズ学派・福祉国家経済にも共通する目的であった。(ちなみに、ウォルター・スコットによれば、ジョン・メイナード・ケインズは同性愛者であった(Parade誌1967年11月12日号2ページの記事”Parsonality Parade”)。彼は、この件に関する参考文献としてマイケル・ホルロイドのLytton Strachey, The Unknown Years(出版者:Holt, Rinehart, Winston)を挙げた。)ケインズが書いた非常に重要な著書『雇用と利子とお金の一般理論』(1936年)の要点の一つは、貯蓄への敵意である。彼は貯蓄を「悪徳」として描いた。…ケインズ経済は、貯蓄を破壊し、貯蓄を不可能にするための経済である。それを公然の没収によって行うのではなく、社会全体の福祉に対する人道的な関心として行うのである。どのような名前がついていても、やはりそれが財産没収であることに変わりはない。
さて、ケインズ経済が攻撃している貯蓄とは何を指すのであろうか。まず、この貯蓄という言葉の意味を定義することが重要である。それは、単なる銀行や貯蓄ローン団体の貯蓄口座ではなく、年金と保険ファンド、私有財産、相続財産、倹約と節約のしるしである他のあらゆる資産も含まれる。
この財産没収は、「混ぜ物をされたお金」=偽金を通じて実行される。レーニンがはっきりと述べたように「中央銀行制度と紙幣は、社会主義の十分の九」である。福祉国家は、このことをよく知っており、これと同じ前提で活動している。
金と銀は、実体のあるお金であり、実体のあるお金に基づく経済は、不健全な経済行為を健全にチェックする。このような経済においては、お金も銀行活動も、金に基づいているため、融資が際限なく拡大することはない。銀行ローンが金の貯蔵量の限界にまで膨れ上がった場合、利率が上昇し、融資は制限されるので、不景気になっても短期的であり、すぐに終わる。第1次大戦前に、合衆国の不景気は短期的であり、続いても数週間または数ヶ月でしかなく、その影響は部分的であった。不健全なビジネス慣行は、人間の条件である。そのような愚行を防ぐ手立てはまるでない。しかし、自由経済は兌換貨幣(hard money)に基礎を置いているため、融資には制限が伴う。愚かで不健全な融資は兌換貨幣によって制限される。銀行があまりにも放漫な融資をすれば、預金者が金でお金を下ろした場合、銀行は破産してしまうかもしれない。政府が不健全な政策を取るようになれば、金を引き出して蓄えるか、または、紙幣と交換に金を要求するだけで、我々は政府に不信任の意志を示すことができるのである。
しかし、社会主義は、勤労者や賢人、倹約家を罰し、愚か者を守り、彼らを支援することを望んでいる。不景気への社会主義の解決法は、お金と融資を管理することである。融資を増やすこと:これこそ社会主義者の解決法であり、社会融資のスキームである。アラン・グリーンスパンがGold and Economic Freedom (Ayn Rand, editor: Capitalism: The Unknown Ideal, 1967, p. 99)の中で書いているように、「銀行の準備高不足がある会社の業績を悪化させているなら、なぜ銀行に準備金を増額供給しないのか、と経済干渉主義者は主張する。そうすれば、資金不足に悩む必要はなくなる、と。銀行が無制限に融資できるとなれば、ビジネスにおいてスランプなどけっして起こらないだろう、と。」その結果、ある連邦局が創設された。その名は連邦準備制度といい、目的は、融資とお金の流れを保全することであった。
愚か者が失敗しないように配慮する経済は、愚か者や寄生虫をますます利するようになる。成功したビジネスマンとはもはや、健全な慣行に従い、クリスチャン的美徳を持つ人々ではなくなってしまった。むしろ、愚か者や悪党や寄生虫を財政支援するために、そのような人にますます重い罰が課せられているのである。(つづく)
2006年2月16日
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