十字架の直後にキリスト教は日本に伝えられていた


教科書ではキリスト教を最初に伝えたのはザビエルであるということになっている。16世紀の話である。

最近景教がすでに日本に7世紀頃に伝わっていたと考える人々が増えている。

しかし、私は、キリスト教は、紀元1世紀、すなわち、キリストの十字架の直後にすでに伝わっていたと考える。

なぜならば、聖書は、紀元70年の神殿崩壊の前に「地の四方に御使いを遣わし、選びの民を集める」と書いてあるからである。

「人の子は大きなラッパの響きとともに、御使いたちを遣わします。すると御使いたちは、天の果てから果てまで、四方からその選びの民を集めます。」(マタイ24・31)

ここで「御使い」とは必ずしも天使を表さない。「アンゲロス」は伝令、福音伝道者をも表す言葉である。つまり、この個所は、キリストが福音伝道者を全地に使わして、ユダヤ人を集める、という意味に解釈できるのである。また、「民を集める」とか「引き寄せる」という表現は、聖書において「救い」を表すので(ヨハネ12・32)、「福音によってユダヤ人を救う」という意味になる。

イエスは、この個所がいつ成就すると考えておられただろうか。プレ・ミレの人々は、世界の終末であると考えているが、証拠はない。イエスはこう述べておられる。

「まことに、あなたがたに告げます。これらのことが全部起こってしまうまでは、この時代は過ぎ去りません。」(マタイ24・34)

「時代」にあたる「ゲネア」という言葉は「世代」という意味であり、ギリシャ語辞典には「30-33年」と書かれてある。

つまり、ここでイエスは、「今後30-33年の間に、全地のユダヤ人に福音が伝えられ、選ばれた人々が救われる」ということを言っておられるのだ。

実際、弟子たちは、キリストの昇天後、離散ユダヤ人に福音を伝えるために、世界に出て行った。記録によると、離散ユダヤ人は、紀元前2世紀に中国にいたことが明らかだから、弟子たちは、中国にもやってきただろう。

私は、彼らが日本にも足を伸ばしたと考える。なぜならば、紀元1世紀に日本と中国とは関係があったし、渡来人が様々な文化を伝えていたと考えられるからである。その中にユダヤ人がいなかったとどうしていえるだろう。

私は、シルクロードの貿易に携わっていたユダヤ人が日本にまで足を伸ばしていたことはけっして荒唐無稽なこととは思えない。

ユダヤ人は、紀元1世紀にすでに日本に集団で居住していただろう。そして、彼らはシナゴーグを作って礼拝を持っていただろう。それが、神道の起源だと考えるのだが、とにかく、イエスがマタイ24章において言われた「この世代が過ぎ去る前に地の四方に伝道者を使わして選びの民を集める」という預言が成就したとするならば、この日本にいたユダヤ人のもとに弟子たちが福音を伝えにやってきたことは十分にありえるのである。

今の歴史学は、古代において世界が互いに緊密に連関していたことを無視しているため、キリスト教の伝来の時期を遅らせている。歴史の再考が求められているのではないだろうか。

 

 

2004年4月3日

 

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