攻撃される連邦準備制度
(1)
ゲイリー・ノースが、「攻撃される連邦準備制度(The Fed on the Defensive)」という題で、連邦準備制度が廃止の危機に瀕していると述べた。
下院議員の大多数が、ロン・ポールが提出したH.R. 1207法案に共同署名した。この法案は、独立した政府機関the Comptroller General's officeに連邦準備制度の監査を行わせることを目的にしている。
連邦準備制度の側は、この法案に関する公聴会の準備のために、PR専門家リンダ・ロビンソンを雇った。
もうすぐロン・ポールは、『連邦準備制度を廃止せよ(End the Fed)』が出版される。ベストセラーになると予想されている。
これまで連邦準備制度反対者の書物は多数出たが、彼らはみな無名であった。しかし、ロン・ポールは、大統領出馬の際に3000万ドルを集めた人物である。その影響は計り知れない。
現在、廃止論者の数が数百万人に上っている。連邦準備制度の歴史上、このようなことはかつてなかった。
彼らは、なぜ12の民間銀行が金融政策を決定し、なぜニューヨーク連邦準備銀行がこの政策を誰にも責任を負わずに実行できるのか、知りたがっている。
現在、下院財政委員会はこの法案を凍結しているが、凍結し続ければし続けるほど、それは、連邦準備制度に対して合衆国政府が支配権を持っていないということを証明することになる。事実、1913年設立以来、政府は、戦時以外、連邦準備制度を支配したことがなかった。
法案が下院と上院を通過しても、オバマは拒否権を発動するだろう。それは、連邦準備制度が政府の管理下にないことを示すから、ロン・ポールの本がますます売れるようになるだろう。
(2)
ブルームバーグニュースは、情報自由法(Freedom ofInformation Act)に基づいて、連邦準備制度の理事会(政府機関)を訴えた。
「理事会は連邦準備制度の財政救済を受けた銀行の名前の開示を拒否しているが、これは違法である」と。
これに対して理事会は、「ニューヨーク連銀は、民間組織であるから情報自由法の適用対象外である。この情報を開示することによって、銀行制度は危機にさらされることになる」と反論した。
8月24日に出た判決において法廷は、連邦準備制度理事会に対して、この情報を8月31日までに開示することを命じた。
どの銀行が連邦準備制度に救済を求めたのか、どのような条件で貸し出されたのかが開示されることになると、将来、銀行は連邦準備制度に金を借りることを躊躇するようになるだろう。大銀行はこのような情報を知られたがらない。
8月26日、連邦準備制度の弁護士は、裁判官に対して、執行猶予を求めた。その際に、弁護士は、「理事会は、ニューヨーク連銀が実際に何を行っているのか知らない」と告げた。「我々は、ニューヨーク連銀の帳簿管理を支配していない。期日までにそれを調べる時間的余裕はない」と。
結論
たとえ議会と裁判所の試練を耐え忍んだとしても、連邦準備制度が経済破綻の犯人である考える人々は、ロン・ポールの著書を買い求めるだろう。
連邦準備制度は、ただ乗りをしてきた。それも終わりだ。
大衆は、連邦準備制度について聞いたことがなかった。連邦準備制度は、透明人間であり続けることができた。しかし、その透明性は失われつつある。この傾向は変わることはないだろう。
連邦準備制度は、政府こそ経済を駄目にした責任を負うべきだと考える人々の格好の標的になっている。政府と企業の連携の典型的な例である。失業率の低下とインフレの低下という2つの目標が達成できなければ、経済的な圧迫に苦しむ無数の人々は誰が真犯人か悟るだろう。
http://www.lewrockwell.com/north/north750.html
2009年8月29日
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