カルケドン・レポート第28号(1967年12月1日) by R・J・ラッシュドゥーニー 2


負債があれば、利子や他の利益にかかる税金が帳消しにされるため、負債は会社や個人にとって財産である。借金に頼る生活は、一つの生活様式になり、さらに、実財を着実に没収するための手段となる。

今日ほとんどの大企業と労働者が社会主義的になっているのは、単に、彼らが、連邦政府の作り出したインフレと没収政策によって利益をあげているからにほかならない。ニュースレター第27号において、ゲイリー・ノースは「IBMは、年間で6億ドルの借り入れが必要だ」と指摘した。この点において、IBMはけっして特別ではない。これはどういう意味だろうか。連邦政府と、大企業と小企業、一般市民の誰もが借金漬けになっており、生活を借金に依存しているので、彼らはますます あぶく銭を求め、ますますインフレが進んでいる、ということである。彼らは、悪銭をつかって負債を帳消しにしようとする。あぶく銭――より正確に言えば贋銭――を得、インフレを高進するために、あらゆる圧力をかけるのである。…結果として、手に負えないインフレによる徹底した失敗がやってくるだろう。

「手に負えない」インフレによる大失敗を避けるために、「制御された」インフレが政策として実施されるだろう。これは、インフレが手に負えなくならないための発展的制御と「信用危機」を意味する。その試みは、最後に失敗することが運命付けられているにもかかわらず、なおも追求されるだろう。

とくに南北戦争前の自由銀行制度において、判断の間違いは個人・銀行・会社に影響を与えた。影響は本質的にローカルなものであり、全国的なものではなかった。国が管理する経済において、ミスはすべて全国規模の災厄にいたる。

自由銀行の下における信用は、利用できる金(gold)に依存していた。利用できる金がなくなれば、融資基準の甘過ぎる銀行の計画は頓挫した。預金者が銀行の投機的な方針を信用しなくなるからだ。連邦準備制度のような社会主義の銀行のもとで大甘の融資を続けるには、誰か他人の富を没収する必要がある。融資を行うには、利用できる富がなければならない。

福祉国家は、重税を課すこと・国債発行・その他の直接的または間接的な搾取の手段によって、この新しい融資を実現させるのである。愚か者やならず者、寄生虫を養うために、倹約家や生産的・保守的な個人の富が着実に搾取されている。ドン・ベルが(ニュースレター第26号において)指摘したように、連邦政府からの支払いまたは利益を受けている人の数は103,900,000人である。これは、合衆国の人口の半数以上である。この数字のうちで、約4千万人が月単位の支払いを受けており、残りは季節小切手を受け取っている。

ならず者になれば、利益が得られる。その結果は、福祉受益者や、あぶく銭を求める会社の急増と、あらゆる分野における悪党どもの人口爆発である。これらの人々は現在、数において残りの人々を凌駕する恐れがある。彼らは繁栄への唯一の道を知っている。つまり、倹約家や勤勉家から盗むということだ。アメリカのニューリッチが富を得た方法とは、勤勉・倹約・有能なオールドリッチからぼったくるということだった。

奴らは、すべてを没収し、とことん破壊するまでこれからも盗み続けるだろう。社会主義の最終結果とは、完全な貧困である。災厄を回避することは不可能である。(つづく)

 

 

2006年2月17日

 

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