二項図式は再建主義の専売特許か? 3
山谷さんの「二項図式」なる用語は、神学の世界で誰にも使われていない造語だが、仮にこれが正しい用語であると仮定して用いると、これは、再建主義の主張ではなく、伝統的なカルヴァン派の主張である。
もっと正確に言えば、現在、福音派全般においてこういう、世界を「神とサタン」の二元論で分ける考え方は一般的であり、おそらく、それは、フランシス・シェーファーがヴァン・ティルの主張を福音派の間に広めてからのことであろう。
この二元論を聖書から説き起こそう。
世界を「聖書的」か「非聖書的」かに二分せよ、と聖書自身が主張している。
聖書が教えるとおりであれば、それは「正しい」。
聖書の教えと異なるならば、それは「間違っている」。
なぜならば、聖書は神の御言葉であり、神のご意見を啓示したものであるから。
聖書だけが「真の意味での基準」であり、それ以外のいかなるものも基準として持ってはならない。もちろん、聖書に従って人間が作り上げた基準も正しい。
このように聖書のみを最終基準として万物を評価する態度は、別に再建主義の専売特許ではなく、正統的なカルヴァン派、そして、アルミニアンでも採用されており、今日広く福音派、聖書信仰のすべての教派が主張しているところであり、別に特殊な主張ではない。
彼は我々の二元論を「神と人間」に分けているが、我々は「神と人間」で分けているわけではなく、ほとんどの聖書信仰の教派と同じように、「神とサタン」に分けている。
人間は、神の陣営に属するか、それとも、サタンの陣営に属するかのいずれかしか選択の余地はない。
神の陣営とは、聖書を最終権威として持つ人々の陣営であり、サタンの陣営とは、聖書以外を最終権威として持つ人々の陣営である。
この、聖書信仰を信じるすべての教派において、あまりにも普通に信じられている二元論を再建主義の専売特許と考えているということは、山谷さんがいかに神学の基礎知識に乏しいかを示している。
私は、山谷さんにお勧めする。
再建主義を学ぶ前に、もっと基礎を学ぼう。
最低でもカルヴァンのキリスト教綱要を読もう。
その後で、カルヴァン派の基礎的な著書を学んで、どこから再建主義の独自の教えであり、どこまでが旧来の教えであるかをおさらいしよう。
できれば、改革派の神学校の授業に聴講生として出席するのがいいでしょう。
2006年9月14日
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