再出発を支援する社会に2
どの分野でもそうだと思うが、成功する人は一握りである。
金が儲かるからというので入った業界において、実は儲かっているのは一部の人々だけだったという話しはよく聞く。
プロ野球でも、億という金を稼いでいるのは一軍のごく一部の選手だけである。
雇う側からすれば、みんなイチローのような選手を雇いたいわけだから、そういった選手は引っ張り蛸になり、報酬が高騰する。
1人が他の数十人を合わせたよりも多くの給料をもらうというのがどの業界でも常である。
翻訳の世界で言えば、翻訳の出来というものはオール・オア・ナッシングである。
中途半端な仕事をされても、依頼者は出来あがり原稿の修正に追われて、かえって自分でやったほうがましだ、ということになる。
完璧な仕事ができる翻訳者以外には仕事を依頼したくないという気持ちになる。
だから極端に言えば、99パーセントの仕事が1パーセントの翻訳者のもとに集まるというようなことも起きてくるのである。
市場原理で言えば、こういった寡占状態は常に起こる。
結局、競争社会の世の中では、1人の金持ちと99人の貧乏人、1人の勝ち組と99人の負け組に分かれる。
これに対する解決策としてマルクス主義は、「その1人の金持ちから奪って、99人に分配しよう」と主張するのだが、歴史が証明したように、結局、その1人の金持ちを殺し、努力する人間を罰してしまうことになるから、社会全体が駄目になってしまう。
どうしたら、社会の活力を奪うことなく勝者を多くできるだろうか。
せめて勝ち組と負け組がフィフティ・フィフティになるくらいにするにはどうしたらよいだろう。
鍵は「リセット」である。
野球やサッカーが面白いのは、試合試合で毎回リセットされるからである。
野球で、たとえ10対0で負けても、次回リセットされてまた0対0から始まる。
これが点数が累積したらどうだろうか。
10対0で負けると、その次の試合の開始点数が10対0になるなら、だんだん弱いチームはやる気がなくなる。
最初に強いチームが他のチームを圧倒し、逆転は起き難くなり、野球の人気は廃れていくだろう。
今首位を走っている阪神は、最下位のまま浮上できなかっただろう。
我々にとって、睡眠は1日の疲れを取って、新しい1日を始めるためのリセットである。
日曜日は、6日間の疲れを取って、新しい週を始めるためのリセットである。
聖書が定める安息日や安息年は、活力のある社会にとって必要不可欠なリセット機能なのである。
神は、イスラエルに対して、定期的に失敗を0に戻すシステムを命令された。
なぜならば、イスラエルは自由人であり、奴隷ではないから。
日本を自由の国にしたいなら、天下りとか族議員とか談合を根絶すべきだ。
特定の業者や地方を優遇すれば、勝者はずっと勝者で、敗者はずっと敗者のままだ。
勝者も敗者も、再び同じスタートラインに立てるように制度を改正すれば、今弱者であっても、努力次第で上昇できる可能性が高まり、勝者が生まれやすくなる。
安息日こそ、真の平等主義をもたらす制度である。
2005年9月17日
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