宗教が政治に口を出すのはよくない?
現代人は、宗教が政治に口を出すのはよくない、と言う。
これは、宗教というものをよく知らないからである。
宗教とは世界観である。
世界観は、存在論、認識論、倫理という3つの要素から成り立つが、宗教はこの3つを備えている。
聖書的キリスト教は(1)世界は神の創造によって成立した。(2)人間は聖書に記されていることに関しては、聖書を絶対の基準とし、聖書に記されていないことについては、主に、実験・観察など科学的方法を用いて知ることができる。(3)人間は、神が聖書において命令されたおきてにしたがって歩むべきであると考える。
他の宗教もこれら3つの要素についてそれぞれ独自の見解があるだろう。
そして、実は、今我々が学校で教えられ、国の土台となっているヒューマニズム思想も、同じように3つの要素を持っている。(1)世界は偶然に出来、進化して現在の姿になった。(2)人間は万物の尺度であり、人間の認識は他のあらゆるものに優先すべきである。聖書であれ、コーランであれ、人間のテストから逃げられるものは何もない。(3)社会的合意の中にある限りどのような行為も許される。
ヒューマニズムも宗教も同じように世界観であり、違いはない。
だから、「宗教が政治に口を出すな」という人は、すでに自分で自分のきまりを破っているのである。
国を成立させる法律は、「不可避的に」宗教的である。
法律は、何が善で、何が悪であるかという倫理を土台として成立するから。
「政治に宗教が口を出していいか?」という質問は間違いである。
「政治にどの宗教が口を出すべきか?」でなければならない。
自分をあたかも非宗教に見せかけるのは、宗教者が自分の宗教を国の基本宗教にする場合に使う常套手段である。
我々は革命者にだまされてはならない。
2005年3月8日
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