最近、ユダヤ的キリスト教の再建を叫ぶ人々が現れている。彼らはこう叫ぶ。
ユダヤ人のクリスチャンもしくはユダヤ教徒から学べ。
そして、キリスト教は、初代教会以来、異邦人の手によって運ばれてからずっと、真理から離れていた。
異邦人神学から学ぶものはほとんどない。
ニケアなどの教会会議では、ユダヤ的なものがすべて切り捨てられた。それ以来、キリスト教は真理をまったく失ってしまった。
これは、教会の歴史を否定する極端な考えである。
教会がその歴史を通じて異端の姿を明らかにし、信条などによって異端と自らを分離してきた過程を無視するので、非常に危険である。
あたかも、近代医学の一部の欠点を指摘して、そのすべてを否定するがごとき愚行である。
このようなキリスト教は、早晩異端にやられるだろう。2000年かけて教会が積み上げてきた真理の体系を否定するので。
もう一度、三位一体やキリスト二性一人格などの基本教理について悪魔と対決しなければならなくなるだろう。
愚かである。過去の遺産を素直に受け取れない人間は愚かである。
もう一点、重要なことを述べなければならない。
それは、「2000年のキリスト教歴史を全否定することは、神の契約的誠実を否定すること」である。
もし2000年間教会はサタンに騙されてきた。正しいものはまったくなかったというならば、それは、次のことを言っているのである。
神は、2000年間、契約の民を裏切りつづけ、真理を彼らから隠しとおした。
神は、契約的に誠実であられるから、キリストの体を無知のまま放置し給わない。
どのような背教の時代にあっても、必ず一筋の光を残される。
キリストの体である教会の全体が完全に死滅することはありえない。背教の中において、神は一部の人を選び彼らに真理を受け継がせられる。
カルヴァン――A・カイパー――メイチェン――ヴァン・ティル――ラッシュドゥーニー
これが神が一筋の光として背教の時代の中で消されなかった「ともしび」である。
キリストの体に属する契約の民である我々は、真理を求めれば必ずその光にたどり着ける。
神の誠実はこのようにして我々を常に守られた。
「2000年間光はなかった」という人は間違っている。それは、神を嘘つき呼ばわりすることである。