プレテリズムの聖書解釈9
> 1) マタイ24:16〜28が紀元70年のエルサレム陥落ということはよくわかり
> ました。では24:29〜42はどうでしょうか?34〜35a「まことに、あなたがた
> に告げます。これらのことが全部起こってしまうまでは、この時代は過ぎ去
> りません。この天地は滅び去ります。」
この個所も紀元70年についてです。
34節で「時代」とは、すでに何度かHPにアップしたように、γενεαであり、英語のgenerationの語源となった言葉です。1世代、1時代を表し、辞書によれば、30-33年を表します。
「これらのこと」、つまり、「戦争や戦争のうわさ、ききんと地震、迫害、太陽は暗くなり、月は光を放たず、人の子のしるしが天に現われ、地上のあらゆる種族が天の雲に乗って来るのを悲しみながら見る」など、34節以前のことは、イエスが語られた後30-33年のうちに起こるということになります。
たしかに、ユダヤ人歴史家ヨセフォスは、それらが70年までに起こったことを証言しています。
「え〜!太陽が暗くなったり、月が光を放たず、星が天から落ち、天の万象が揺り動かされるなんてことが紀元1世紀に起こったのか?」と言う人がいるかもしれませんが、このHPにおいてしばしば述べたように、古来預言者は、このような天の崩壊の描写をもって、地上世界の権力構造の変化を表現したのです。(参照「プレテリズムの聖書解釈4」)
聖書において、「天地は滅びる」という表現は、同時に「新しい天地の到来」をも意味しています。何もこの世界の物理的消滅を意味しているわけではありません。
旧約時代、神は至聖所に置かれた契約の箱の上、箱の蓋のケルビムの羽が交差する隙間から世界を支配しておられた。
しかし、神殿が崩壊し、契約の箱もどこかへ消え去り、そのような神の御支配の方法も変化した。
つまり、世界はまったく新しい支配体制に移行した。
依然として神は王であり、主であるが、しかし、もはやイスラエルの幕屋や神殿から支配されない。そのような民族的な支配体制は消滅した。
そして、まったく新しく、クリスチャンの体という新しい幕屋・神殿(1コリント6・19)から支配するという方法に変わった。
全世界のクリスチャンを通じての、聖霊による世界変革、世界の諸民族の弟子化(マタイ28・19-20)というまったく新しい支配体制が始まった。
これこそ、古い天地が滅んで、新しい天地が現われたという形容に相応しい、徹底した変革です。
2004年10月29日
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