創造の方法について
<T.T.様>
はじめまして。ひとつ質問をさせてください。
神による創造は信じていますが、「どのようにして造ったのか」が解りません。
瞬間的にぱっぱっと現れたのでしょうか?生物も天体も…
富井さんはどうお考えですか?よろしくお願いします。
T.T.
<tomi>
メールありがとうございました。
創世記を見ますと、6日に分けて創造されたと書いてあります。
第一日 光 第四日 光る物
第二日 海と天 第五日 魚と鳥
第三日 地と植物 第六日 陸の動物と人間
このように、第1日から第3日までは、「入れ物」を作り、第4日から第6日までは「入れ物の中身」を作られたようです。
「天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り…」(出エジプト記20・11)
ここで、創造が「天と地と海」と「それらの中にいるすべてのもの」とに分類されています。
また、第1日と第4日、第2日と第5日、第3日と第6日はそれぞれ対応しています。
入れ物である「光」に対して「太陽や月、星」は入れ物の中身、
入れ物である「海」に対して「魚」は入れ物の中身、
入れ物である「天」に対して「鳥」は入れ物の中身、
入れ物である「植物の生えた地」に対して「陸上動物と人間」は入れ物の中身です。(*)
第7日目に神は休まれました。
神は時間をも創造されたので、時間に支配されることがないため、それぞれのものを時間をかけて作る必要はありません。(**)
ですから、瞬間的に全部一挙に出現させてもよいのですが、しかし、人間に模範を示すために6日に分けて創造され、1日休まれました。
人間は、神の象徴的存在ですから、神の模範に従って、6日間労働をし、1日休むよう、十戒の中で命令されています。
「安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ。六日間、働いて、あなたのすべての仕事をしなければならない。しかし七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたはどんな仕事もしてはならない。・・・それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。・・・」(出エジプト20・10ー11)
(*)
聖書において、世界とは、「舞台と出演者」という二つの部分から成り立っています。
太陽や月や星は、入れ物ではなく、入れ物の中身であり、舞台ではなく、出演者です。
それゆえ、太陽や月や星は、人間と同じように、「統治を委ねられた者」としての役割を負わせられています。
太陽には「昼」を任せ、月には「夜」を任せます。
「それで神は二つの大きな光る物を造られた。大きいほうの光る物には昼をつかさどらせ、小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた。」(創世記1・16)
人間には「地」を任せられました。
「そして神は、『われわれに似るように、われわれのかたちに、人を造ろう。そして彼らに、…地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配させよう。』と仰せられた。」(創世記1・26)
これは、聖書全体を貫く「契約の構造」に従っており、超越者である神が代理者をたてて支配を委任するという形式になっています。
会社で言えば、社長が地方支店を部下に任せるようなものです。
ちなみに:
興味深いことに、日本神話でもこの契約的表現が出てきます。
天照大神には「昼」が、月読命には「夜」が、スサノオノミコトには「地」が任せられます。
そして、天照大神と月読命は命令どおり仕事をしていたが、スサノオノミコトは反逆したため、高天原から追い出されたとあり、創世記の「反逆したアダムがエデンの園から追放された」という記事と酷似しています。
しかも、この追放劇の収拾役として、天照大神が責任を取って天岩戸に隠れ、そして現れますが、これは、聖書の中で「すべての人を照らすまことの光」であるイエス・キリストが死に、復活する話を連想させます。
(**)
神が時間に支配されていないことは、1日のうちにすべての魚や鳥などを創造されたことです。
世界に住む魚や鳥の種類全体は(絶滅種も含めて)恐らくそれぞれ百万単位にも上るでしょうから、これらをそれぞれ一日で創造されたということは、文字通り時間を超越して創造されたことを示しています。
神と被造物の大きな違いは、「超越者」と「非超越者」の違いで、非超越者である被造物に当てはまる法則や論理というものは、超越者に適用することはまったくできません。
たとえば、人間の場合、ものを作る場合通常「計画→作業→完成」という手順を踏み、これは時間を前提としていますが、神は時間を超越しているので、この順番で進んだかどうかも不明です。
「瞬間に」という言葉を私たちが使う場合に、その「瞬間」も時間の枠の中に含まれています。たとえば、目の前に新幹線が瞬間的に通過しても、それにはやはり何秒かかかっています。
神の瞬間創造の「瞬間」というものは、このような「時間的にすばやい」という意味ではなく、そのような枠組みを超越していると思います。
我々にとってこのような世界は謎なので、類推はまったくできないと考えます。
2004年5月4日
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