我々、学校教育を受けてきた者は、進化論やらヒューマニズムやらで、「この世界には神はいない。だから、人生に目的もない。」と信じこまされてきた。
しかし、進化論は、このHPをお読みいただいている方ならご理解いただけると思うが、まったく非科学的な代物であり、騙し以外の何者でもない。
また、ヒューマニズムについても、このHPで何度も触れてきたが、もともとヒューマニズムは、キリスト教の神を否定する形で生まれ、人間から出発して人間に帰る運動である。
しかし、人間から出発する根拠がどこにもない。また、人間に帰る根拠もどこにもない。
ヒューマニストは、「我々は、神を目的にする必要はない。我々は、我々のためにのみ生きるべきだ。我々の欲望が十戒であり、我々が決定したことが法律だ。」と考える。
根拠を尋ねると、「それは･･･」と、つまる。
根拠などないのだ。
我々の学校教育の土台であるところの、この2つの考え方が、いかに根拠が薄弱な土台の上に立っているか考えてほしい。
それに対して、我々には、聖書がある。
聖書は神の自己啓示であり、それは絶対的権威がある。
その前提から出発する。
だから、我々は人生の目的もはっきりしているし、我々が何に頼るべきか、何を基準として物事を解釈すべきか、も知っている。
つまり、我々は、ヒューマニストに比べて圧倒的にしっかりとした論理的・科学的な生き方ができるのだ。
ヒューマニズムは、自分の立場の脆弱さをよく知っている。
だから、その脆弱さを隠すためにいろんな仕組みを作っている。
その一つが「実存主義」だ。
「人間は不安な動物だ。不安になることこそが生きている実存を与える」などという屁理屈をこねる。
こういった立場以降、不安は、知的であることのしるしのようにあがめられてきた。
不安でない人は、どこか頭が悪いか、脳天気な人のように思われてきた。
宗教などに確信を求める人々は、「洗脳されている」とか「アヘンにやられた」とか言われてきた。
どんなに彼らが我々を揶揄したところで、不安からは逃げることができない。
ヒューマニズムの基本的な性格の一つは、不安や恐怖である。
学校教育において訓練された人々は、不安に陥りやすい。
私がかつてそうだったからよく分かる。
私は、自分に対して自信があった。学力という点で比較的よい成績を取ることができたので、自分は平均以上だと考えていた。
私は、自分に頼っていた。
しかし、神は自分に頼る人間を嫌われる。
肉の腕に頼る者はのろわれよ。（エレミヤ17･5）
だから、神は私を訓練されるために、わざと自分を信頼できない状態に落とされた。
私は自分が頼っていたものを失うような経験をした。
それによって、空白が生じた。
それまで頼っていた松葉杖を奪われたように。補助輪を奪われた自転車のように。
これは恐怖であった。
私は教会の交わりに頼っていた。教会は天国のようなところだったので、教会の友人といっしょにいることによって安心していた。
しかし、ソ連という教会がまったくないところ、クリスチャンと接することが許されないところに送られて、一人になったときに自分には信仰がないということが分かった。
各会社から選抜された人々はきわめて優秀な人々で、それまで自分が頼ってきた学力も否定された。社会的な意味でも、彼らは優秀であった。
この経験を経て、自分が弱い者であり、自分に頼れないということをまざまざと見せ付けられた。
これによって神は私の信仰を訓練された。
心の貧しい者は幸いです。天の御国はその人のものだからです。（マタイ5･3）
これは「心において極貧の者」という意味である。
ここでクリスチャンとはどのような人間であるかが明らかにされている。
すなわち、心において何も頼ることができない人。自分に自信がない人。
クリスチャンで自信にみなぎっている人などいるはずがない。
クリスチャンは、自分自身がどうしようもない人間であることを知っている。自分が罪を犯しやすい人間であることを。神や人を簡単に裏切る人間であることを。
クリスチャンとは、常に自分の「（心の）貧乏」を見せ付けられて生活している。いつも心の財布は空っぽ。銀行にも預金はまるでない。
このようでない限り、それは偽りの信仰である。
自分の能力や義に信頼しているような人はクリスチャンにはなれない。
とことん打ち砕かれる体験をする。自分の駄目さ加減をいやというほど知らされる。
クリスチャンに成り立ての人は、自分の現実に直面して愕然とするだろう。
しかし、安心してほしい。それは、神の道なのだ。人間が必ず通らねばならない道。いや、毎日通らなければならない道だ。
人よりも道徳的に優れていると考えたとたんに、どん底に落とされるような罪を犯す。
このような体験を毎日繰り返すものだ。
だからクリスチャンは毎日悔い改めながら生活する。
我々は、悔い改める罪人に過ぎない。
我々は、他人と比較して道徳的に優れているわけではない。
さて、このように「すっかんぴん」を自覚するところがクリスチャンにとってスタートラインだ。
神は、その崩れた自信という虚像の後に本物をすえられる。
本物とはキリストである。
キリストに頼るように導かれる。
我々にとって唯一頼ることができるのは、キリストである。そして、キリストが我々を支えてくださるという信仰こそが新しい人生の土台である。
だから、我々にとって自分に能力があるかないかとか道徳的に優れているかどうかなど関係ない。
昔は、人に対して虚勢を張り、自分を大きく見せて生きていた。しかし、今は違う。
人々は、「君、そんな自信のないような感じじゃ客を取れないよ」とか言われるかもしれないが、そんなのどうでもいい。
自分に対する自信はすでに崩壊しているのだから。
じゃあ、何を持って世間の荒波を生きていけばいいのか。
キリストにすがることだ。
御言葉を絶対と信じて生きることだ。
世間が100のレベルを求めてくるならば、信仰によって「100のレベルに必ず上がる」と信じることだ。
そしてそのために努力することだ。
そうすれば、神が最善の道を用意してくださる。
ここで、「ああ、どうしよう！」となると、崩れる。信仰が崩れれば、もともと人間的な自信も崩れているから、ぺしゃんこになる。
だから、「僕は疑わない！」と心に決めることだ。
御言葉に書かれていることは絶対であると心に決めることだ。
人間を恐れたり、世間を恐れるならば、罠に陥る。
人を恐れるとわなにかかる。しかし主に信頼する者は守られる。（箴言29･25）
自分の上司を恐れて行動すると、罠にはまる。いいように利用されたり、いじめられたりする。
だから、キリストにあって堂々とすべきだ。（これは、上司に対して生意気に振舞えという意味ではないのでご注意。あくまでも権威に対しては従順に。）
そうすれば、サタンに付けいれられる恐れはない。
サタンは、弱い部分を見つけて攻撃してくる。
我々の目標は、生活のあらゆる面において徹底した信仰を身に付けることだ。
不安な部分があるならば、そこを神が埋めてくださると信じよう。
そして、あらゆる部分において信仰によって武装し、固いよろいを身につけよう。
我々を支えている偽の自信、人への信頼、依存、甘えという偶像を徹底して叩き潰されるまで訓練は続くだろう。