ブッシュ大統領を支持しているアメリカのクリスチャンの大多数が信じているのは、19世紀初頭に登場したディスペンセーショナリズムという異端の教説である。

ディスペンセーショナリズムは、プレ・ミレという終末論を信じており、まもなくイスラエルが回復し、反キリストが登場し、再臨があり、世界はキリストによって統一されるというタイムテーブルを持っている。

ディスペンセーショナリストは、いつも心があせっている。なぜならば、「我々の時代は、歴史の最後の時代だ」と信じているからである。

彼らにとって長期的なキリスト教文明建設は無意味である。まもなく反キリストが登場して、キリスト教徒への迫害があり、我々が築き上げた文明を破壊するからである。

それに対して、宗教改革運動を教理的に確立し、歴史的なプロテスタント・キリスト教の主流を形成したカルヴァン派の終末論は、キリスト昇天後の時代を「千年王国時代」と考える。

この時代に、教会はサタンとの戦いの中で、福音を世界中に広め、世界のすべての国民を愛と平和に導く。これを後千年王国説（ポスト・ミレ）という。

ジュネーブ教理問答の第268-270問：

｢問：御国の到来のためにあなたはどのように祈るべきか。
答：我々は次のように祈るべきである。すなわち、主が日増しに信じる者の数を増やし、毎日恵みの賜物を彼らの上に注ぎ、ついに、主が彼らを完全に満たしてくださるように。主が、その真理をますます明るく照り輝かせてくださるように。主が御自身の正義を明らかにし、サタンと彼の国の暗やみを混乱に陥らせ、すべての不義を消し去り、破壊してくださるように、と。

問：このことは今日すでに起こっているのだろうか。
答：しかり。部分的には。しかし、我々は、それがたえず成長しつづけ、発展し、ついには、裁きの日において完成に至るように願わねばならないのである。…｣

しかし、この考え方は、ディスペンセーショナリズムが登場してから弱くなり、第1次世界大戦後、「楽観主義」「非現実主義」として退けられ、信じる人が激減した。

http://www.millnm.net/qanda/pmil.htm

ラッシュドゥーニーは、この立場を回復した。

我々正統派のクリスチャンは、「神は世界を神の国と変えるために計画をもっておられ、それを着実に、一歩一歩実行しておられる。御国は歴史の終わりに完成する」と考える。だから、けっしてあわてない。あせらない。

ディスペンセーショナリストは、あせっており、イスラエルをはやく回復しなければならない、と考えている。だから、パレスチナ問題に首を突っ込み、アブラハム契約における領土預言の成就を妨害するパレスチナ和平案に反対し、パレスチナの人々を苦しめるような政策を支持している。

彼らの未熟な聖書解釈は、彼らをカルトの行動に突っ走らせ、世界中の人々を不安のどん底に落としている。

彼らは、ブッシュ大統領の再選を喜んでいるが、世界の人々はその反対のことを望んでいる。

彼らのあせりは、サタンに由来する。

サタンは、彼らの心を終末に向けさせ、終末がまもなく起こると信じさせ、一刻でも早く聖書終末預言（と言われているモノ）が成就するために、アメリカ大統領を動かさなければならない、と考えさせている。

我々正統派キリスト教徒は、このような聖書預言が聖書の曲解によるものであると考えており、これから反キリストも、大患難も、最後の審判も間近に起こるはずがないと考えている。

我々は、終末が起こるには、キリストの命令「すべての国民を弟子とせよ」がまず成就するはずだと考える。

世界のすべての国民や民族（人ではない）がクリスチャンになり、その生活がキリストの弟子としてふさわしいものに変わると信じる。

そして、それは、これから10年、30年、50年という短い時間に実現すると考えない。もっとゆったりと見ている。

目先の情勢を動かすためにあくせく活動しない。家庭や教会や学校の改革から徐々に始め、次世代を育て、最終的には国民の常識を聖書に基づいて変えることを望んでいる。

アメリカのクリスチャンがサタンによってこれ以上操作されないよう、世界のクリスチャンは熱心に祈るべきである。

2004年11月16日