イスラエルの回復を支持した著名な神学者たち


マイケル・J・ヴラクPh.D.が、次のサイトで、イスラエルの回復を支持した神学者の言葉を集めて紹介している。

http://www.theologicalstudies.citymax.com/page/page/1572444.htm

トマス・アキナス:


ユダヤ人の盲目は、救いに選ばれているすべての異教徒たちが信仰を受け入れる時まで続くと思われる・・・。そしてこのことは、パウロがユダヤ人の救いについて語っていることと調和している。つまり、異教徒の回心の後に、すべてのイスラエルは救われるだろう。ここで『すべての』は、ユダヤ人が個人として全員救われるということではなく、一般的な意味において、『すべての』ユダヤ人が救われるという意味である。
(Thomas Aquinas, "Super Epistolam Ad Romanos"; II.2, available from http://www.tacalumni.org/Aquinas/TOMA_075.txt; Internet. Translation by John Y. B. Hood. )

ジャン・カルヴァン

パウロがこの文章(ローマ11・26)を引用したのは、ユダヤ人の間にまだ希望が残っていることを示すためである。たしかに、彼らの矯正不能な頑固さを見ると、彼らがまったく捨てられており、永遠の死を運命づけられていると容易に推測することができるのではあるが。しかし、神はご自身の契約を絶えず心に留めておられ、「神の賜物と召しとは変わることがない」(ローマ11・29)のであるから、「ユダヤ人の中にキリストに立ち返り、キリストが獲得された救いを受け取る残りの民などいるはずがない」と考えることはできないと結論したのである。このように、ついにユダヤ人は異邦人とともに集められ、両者はキリストのもとに「一つの群れ」にならなければならない(ヨハネ10・16)・・・。(John Calvin, "Commentary on the Book of the Prophet Isaiah," Calvin's Commentaries, vol. 8, 269.)

異邦人が信仰に入る時に、ユダヤ人も背教を捨てて立ち返るだろう。そして、救いが完成する。・・・救いの民はこの両者から集められなければならない。しかし、ユダヤ人は第一の地位につかねばならない。なぜならば、彼らはいわば神の家族の長子だから。ユダヤ人が長子である以上、預言者の宣言はとくに彼らのうちに成就しなければならない。・・・神は彼らの父祖と結ばれた契約をお忘れにならなかった。神はこの契約を通じて、ご自身がその永遠の御目的のためにこの民族を愛しておられるということ、そして、神の召しの恵みは無効にならないということを、証言されたのである。(Epistle to the Romans," Calvin's Commentaries, vol. 19, 434-40)

イギリスのピューリタン

アイアン・H・マーレイは次のように述べた。

17世紀の最初の四半世紀から、ユダヤ人が将来回心するという信仰が、イギリスのピューリタンの間で常識化した。
(Iain H. Murray, The Puritan Hope: Revival and the Interpretation of Prophecy (Carlisle, PA: Banner of Truth Trust, 1971), 42.)


ウィリアム・パーキンス

主は「すべての民族はアブラハムにおいて祝福される」と言われる。それゆえ、私はユダヤ人が召され、回心し、この祝福の中に加わると考えるのである。それがいつであるか、またどのようにしてであるかは、神のみぞ知るである。我々が知っているのは、世界の終末が来る前にそれが実現するということだけである。
(Quote taken from Iain H. Murray, The Puritan Hope, 42.)


17世紀のオランダの神学者たち:

J・ファン・デン・ベルクによると、「17世紀の多くのオランダの改革派神学者たちが、ユダヤ人は将来救われ、ユダヤ民族は回復すると信じていた」。


・・・17世紀のほとんどすべてのオランダ人神学者たちは、「すべてのイスラエル」が「肉による」イスラエル人の完成、つまり、ユダヤ人の完成を示していると考えていた。このことは、ユダヤ人が将来において回心することへの期待――これは、オランダ神学者の大多数が共有していた期待であった――には、根拠があるということを意味していた(J. Van Den Berg, "Eschatological Expectations Concerning the Conversion of the Jews in the Netherlands During the Seventeenth Century," Puritan Eschatology: 1600 To 1660, ed. Peter Toon (Cambridge: James Clarke, 1970), 140.)。


17-19世紀の改革派神学者たち

ウィレム・ヴァンゲメーレンによると、

17世紀から19世紀の改革派神学は、イスラエルに関する固定された見方を捨て、その未来に関して非常に柔軟な見解を採用した(Willem VanGemeren, "Israel as the Hermeneutical Crux in the Interpretation of Prophecy (II), Westminster Theological Journal, vol. 46, #2, Fall 1984, p. 255)。

・・・17世紀に、大陸とイギリスの改革派神学者たちはユダヤ人に対してダイナミックな関心を寄せていた。これらの神学者たちは、ユダヤ人が大規模に回心することを期待し、中には、その回心の前後にユダヤ人がパレスチナに帰還することを期待する人々もいた・・・(VanGemeren, 257)。

早くも、ヴォエチウス(1609-1676年)の時代に、彼と仲間の神学者たちは、ユダヤ人の回心を熱望していた。ヴォエチウスは「改革派の社会は、責任を持ってユダヤ人を取り扱わなければならない。祈りと信仰と、旧約聖書の健全な解釈と、共感をもってユダヤ人と接しなければならない。」と考えた(VanGemeren, 255)。


ファン・デン・ベルクによると、

未来におけるイスラエルの回復を主張していた神学者は、ギズベルトゥス・ヴォエチウス(1589-1676年)、ジョハンネス・ホオルンベーク(1617-1666年)、アンドレアス・エッセニウス(1618-1677年)、ジャコブス・コールマン (1633-1695年)、ジョハンネス・コッツェーユス(1603-1669)、ヘルマン・ウィットシウス(1636-1708年)他であった(Van Den Berg, 141-48)。


ジョナサン・エドワーズ


ローマ11章におけるユダヤ人の民族的回心よりも確実な予言は何もない。
(Jonathan Edwards, The Works of Jonathan Edwards, vol. 1, Banner of Truth Trust, reprint, 1976, 607.)

チャールズ・ホッジ

教会の共通の信仰によれば、キリストの再臨に先立つ第2の大きな出来事は、ユダヤ人の民族的な回心である。そのような民族的な回心の発生については、あの民族のもともとの召しと目的という観点から論じることができる。

ユダヤ人の拒絶は、全体的ではなく、また、最終的でもなかった。第一に、神はご自身の計画において、御民を完全に見捨ててしまわれたのではなく、ユダヤ人を拒絶することによって、まず、異邦人の間に福音を広め、最終的に異邦人の回心がユダヤ人の回心を促す手段となるように取り計らわれたのである・・・。

ユダヤ人の拒絶が祝福の源であったならば、彼らの回復はそれよりもはるかに素晴らしい祝福をもたらすことだろう。ユダヤ人が回心して神の御民の特権に回復することは、彼らに関するいにしえの予言と約束の中に含まれているのである。

未来におけるユダヤ人の回復は、それ自体、異邦人が神の教会に加えられることよりもはるかに確実な出来事なのである。 

(Charles Hodge, Systematic Theology, vol. 3, James Clark & Co. 1960, 805; A Commentary on the Epistle to the Romans, Presb. Board of Pub., 1836, 270-285 passim. Now Published by Banner of Truth Trust.)

チャールズ・H・スポルジョン

ユダヤ人の回復が人々によって十分に重視されているとは言えない。まだそれについて十分な考察がなされているとは言えない。しかし、聖書の中で約束されていることがあるとすれば、まさしく、これこそそれなのである。
(From first volume of Sermons, 1855, as cited in Iain Murray, The Puritan Hope, 256. )

異邦人に対する第一の使徒であり、[恵みから]遠くかけ離れていた我々に対する第一の宣教師でもあったユダヤ人は、再び集められるだろう・・・。イスラエルの回復とともに、世界は未曾有の祝福に包まれることだろう。彼らが集められることは、死者からの復活となるだろう。

(Cited in Murray, 256)


C. E. B.クランフィールド


教会は、このメッセージを学ぶことを頑固に拒絶しているのである。そして、「教会が存在するのは、人間の業に基づいている」と密かに(おそらくまったく無意識に)信じ、神が自らにお与えになった恵みを理解できず、「神は御民イスラエルを捨て、それをキリスト教会に置き換えてしまわれた」という醜い、非聖書的な教えを受け入れている。もしそうでなければ、今も不信仰の中にいるイスラエルに対して神があらわれみを持っておられることを信じられるはずである。これらの3つの章(ローマ9-11章)は、ユダヤ人が教会に置き換えられたという教えを信じることを厳禁している。

(C.E.B. Cranfield, A Critical and Exegetical Commentary on the Epistle to the Romans, in The International Critical Commentary, vol. 2 (Edinburgh: T & T Clark Limited, 1979) 448.)

ジョージ・E・ラッド

新約聖書は、文字通りのイスラエルが救われることを明言している。

(George Ladd, "Historic Premillennialism," in The Meaning of the Millennium: Four Views, ed. Robert G. Clouse (Downers Grove, IL: InterVarsity, 1977), 28.)

カール・ラーナー

・・・救いの歴史においてイスラエルの役割はまだ終わっていないということも認識されている(参照・ローマ9-11章)。

(Karl Rahner, Foundations of Christian Faith: An Introduction to the Idea of Christianity. Trans. William V. Dych (New York: Seabury Press, 1978), 338.)

ユルゲン・モルトマン

神がご自分の選びの民を永遠に拒絶されるならば、ご自身の選びそのものを拒絶しなければならなくなるのである(11・29)・・・。イスラエルの約束は、イスラエルの約束のままである。約束が教会に移されたわけではない。神の歴史において、教会がイスラエルを押しのけてそこに居座っているわけではない。福音の観点から見て、イスラエルはけっして「すべての民族のように」なったわけではけっしてない。

(Jurgen Moltmann, The Way of Jesus Christ: Christology in Messianic Dimensions. Trans. Margaret Kohl (San Francisco: HarperSanFrancisco, 1990), 35.)

同時に、12部族から成るこの民族が復活するというこの初期のユダヤ・キリスト教的希望によって、イエスはご自身の御民と結ばれている。異邦人クリスチャンはこの絆を解いてはならない。

(Moltmann, 148.)

ヘルマン・リッダボス

それゆえ、新約聖書の教会を神の御民と定義し、同時に、イスラエルを神の恵みと召しの不滅の対象と考えても、矛盾を冒したことにはならない。

(Herman Ridderbos, Paul: An Outline of His Theology, trans. John Richard De Witt. (Grand Rapids: Eerdmans, 1975), 360.)


ジョン・マーレー(ウェストミンスター神学校教授)


この章[ローマ11章]ではイスラエルの回復が一貫して強調されているということを心に留めるならば、我々は次のように結論する以外にはない。すなわち、「『イスラエルはみな救われる』という御言葉は、『イスラエルは民族として完成し、受け入れられ、接木され、福音の愛と恵みの中に回復する。イスラエルは集団で信仰と悔い改めに立ち返る。』と解釈すべきだ」と。・・・つまり、使徒[パウロ]はイスラエル大衆の救いを確認したのである。

(John Murray, The Epistle to the Romans (Grand Rapids: Eerdmans, 1997), 99.)

ミリアード・エリクソン

しかし、民族としてのイスラエルには未来がある。彼らは神の特別の民なのである。

(Millard J. Erickson, Christian Theology, 2d ed. (Grand Rapids: Baker, 1999), 1053.)

ウェイン・グルーデム

ローマ9-11章は、ユダヤ民族の大規模な回心が未来において起こることを教えていると、私は確信している。

(Wayne Grudem, Systematic Theology: An Introduction to Biblical Doctrine (Grand Rapids: Zondervan, 1994), 861.)

 

 

 

2006年5月7日

 





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