福祉国家の行き着く先
John W. Whiteheadが、『ビッグ・ブラザーはあなたのすべてを知りたがっている。―アメリカ社会調査』という記事において、アメリカが急速に管理社会になりつつあると指摘している。以下要約。
アメリカ社会調査(American Community Survey)という国勢調査が毎年行われている。
その内容は、通常の国勢調査と違って実に細部にわたって個人の除法を探るものだ。職業、収入、肉体的・精神的健康、家族の状態、住所、親しい友人、個人的な趣味などだ。
これは義務であり、回答しないと多額の罰金を取られる。一つの無回答につき100ドル。嘘を書いた場合、500ドル。合計すると場合によっては1万ドルから5万ドルにもなる。
質問内容は細部に至り、たとえば、同居人の数と名前、関係、結婚しているか、 人種、彼らの肉体的・精神的・感情的な問題。ベッドルームやトイレの数。暖房にどのような燃料を使っているか。電気代、借金の有無、昨年何日病気をしたか。自動車の数、階段を上る際に苦労するか。職場に行くために、毎朝何時に家を出るか。経済上の問題の有無。
このような回答をすれば、自分だけではなく、他人のプライバシーをも暴くことになる。同居人の教育レベル、学歴、言語、最後に仕事についた時期などを書けば、彼らに害を加えることにもなる。
アメリカ人は、今や他人の情報を国家に提供するスパイの役割を負わせられることとなった。ジョージ・オーウェルの1984年のスパイ社会が現実のものとなった。
オーウェルはこう述べた。
「家族は、実質的に思想警察の出先機関となった。誰もが、昼夜をとわず情報を提供する人間に取り囲まれることになる」。
合衆国憲法では、はっきりと国勢調査は、10年に一度行い、しかも、選挙区の整理だけを目的とするとある。罰金で脅かしながら、アメリカ人の個人情報を集めるために国勢調査を行うことなど建国の父たちの計画の中にはまるでなかった。
悲しいことだが、ほとんどの人が、自由が侵害されつつあることについて心配していない。このような憲法違反の国勢調査のようなほとんどの政府の要求に応じている。
しかし、中には自由の侵害を自覚し、抵抗するために立ち上がろうとする人々もいる。・・・
http://www.lewrockwell.com/orig8/whitehead9.1.1.html
2010年3月5日
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