国民感情


<fms様>

富井先生、いつもありがとうございます。

>拉致家族のところに、「小泉さんへの感謝がなかった」と苦情の電話>が殺到したそうだ。

今、このHPは、話題が一般的になものになっているので、ノンクリスチャンの方々も、興味を持って読んでおられることと思います。

かく言う私も、その一人ですが。


多くの国民が拉致家族の報道を不愉快に思っているのは、もっぱら感情的な問題でありましょう。

たとえ拉致家族の人たちの主張が正しいものであったとしても、彼らが衆人の心を理解せず、不愉快な感情を爆発させるだけであれば、当然人々からも拒否されると思います。

職場でもそうですが、たとえ正しい主張であっても、言い方がマズイと上司から睨まれてしまい、いじめられて最後には退職せざるをえなくなる人がいます。

専制君主的な国家では、腹心の部下が君主を諌めただけで打ち首になったりしますよね。「打ち首」と言いましたが、それはイラクで殺されたバーグさんの生の映像を見てもわかるように、とても残酷なものなのですね。あれを見て、私は、歴史上様々な場面で行なわれてきた首切りの怖さがよくわかりました。先生もご覧になられたと思います。

http://dolby.dyndns.org/foo/
(首切り映像)

「大胆で恐れない者が殺される」という一句が老子書にあったと思いますが、昔も今も、人間の基本的な部分は同じだろうと思います。

アメリカ人の書いたビジネス本なんかでも「批判されたらタダではおかない」ことを勧めるものもあります。

その本には、鉄鋼王カーネギーも、部下のチンピラどもに多くの労働者を殺させたというようなことが書かれてありました。

多くの場合、人間というものは、自分にとって気分のいい人間を可愛がり、そうでない人間はたとえ義人であってもいじめるものだと思います。

「義のために迫害されてきた人は幸いである」と聖書にありますが、私は、衆人の心を理解しようとせず、ただやみくもに彼らの「正義」を主張し、結果として迫害を受けるのであれば、そして加えて迫害を受けるのは世間が悪いからだと考えるのであれば、彼の信仰も「悟り」も允にお粗末なものであると思うのであります。

まぁ、これは私が保守的な日本人であるからそう思うのでしょうけど、以前、有名なアメリカ人の講演家が書いた本の中で、全く同じような考えを主張していた一文があったので、私は日本的な考えもそんなに「非アメリカ的」というわけではないのだな、と感心した次第であります。


<tomi>

掲示をどうもありがとうございます。
感情って大切ですね。
相手の気持ちを思いやるという心は必要です。
たとえば、伝道をしているときに、相手の感情を無視してたら、絶対に成功しません。
「神様がやるんだから」ということで、一方的にまくしたてて相手の気持ちを配慮しないなら、それは無謀なかけです。

高速道路を運転している時に、「神様、これから10分間目を閉じて祈ります。その間、あなたが働いて守ってください。」というようなもので、神を試すことです。

ただ、今回の拉致被害者の心情については、彼らの立場に立って考えていれば、容易に同感できるものであって、彼らの批判の内容も、その表現もきわめて理にかなっています。これは誰も否定できないでしょう。

苦情の電話をかけた人に同感し、その気持ちに配慮する必要はこの際にはまったくないでしょう。

先のイラクの人質解放事件の人質のふてぶてしさに国民が反感を覚えたのは無理もありません。だって、自分の意志で危険な場所に行って、自分で責任を取れなかったのですから、「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」と言うべきで、「救出されて当然」のような態度に同情する余地はないでしょう。

しかし、今回の拉致被害者は、自分が平和に日本で何の落ち度もなく暮らしていたのに、突然さらわれて自分の人生を台無しにされたわけですから、怒るのは当然であり、この場合、この怒りに同調できない人々の感情を配慮する必要はないでしょう。

自分の感情が正当なものであるかどうかを反省せずに、単なる「カチンときた」というだけで反応するのはそれこそ感情に左右されている人々であって、とても理性によってコントロールされるべき大人ではないでしょう。

普通の国民は、「つらいんだろうなあ。でも、もう少し感情を抑えたほうが支持を得られるのに」という程度の気持ちでしょう。

今の日本の政治がおかしくなっているのは、怒るときに怒れないからでしょう。今回だって、小泉さんのかたを持てば、小泉さんや外務省に反省のチャンスを奪うことになるんですよ。

これまでこういった腰抜外交を日本人が怒らなかったから、あいかわらずやり続けているんですね。感情は理性でコントロールすべきで、コントロールができない人々の気持ちを損ねることを第一に考えていたら、何もできなくなってしまうでしょう。

 

 

2004年5月26日

 

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