融通のきかない人とはビジネスはできない
翻訳の仕事が忙しくて、本も読む時間がないし、本職がおろそかになっている。
だが、かすみを食って生きているわけではないから仕方がない。
先日、英露訳の仕事があって、クライエントから結果を絶賛されたが、20数箇所の訂正を求められた。
これには訳があった。最終チェックにロシア人の翻訳家の訂正を頼んだが、金を振り込まない限り原稿を渡せないという。
しかし、休日をはさんでいたのと、私は(無駄遣いを防ぐため簡単に引き落とせないように)ある特殊な口座に金を入れているので、振込みは月曜日にしかできない。だが、締め切りは月曜日なので、その日にチェック原稿を受け取ると、最終チェックにかける時間がほとんどなくなる。客先の指定の納品期限は3時である。
信頼関係でチェック原稿を土曜日にあげて欲しかったが、金を受け取らない限り絶対にデータを送信しないという。
たしかにこの人とは初めての仕事ということもあり、こちらの段取りが悪かったのと、相手が信用で納品してくれると考えた甘さがあったことは事実だが、しかし、もう少し柔軟に対応して欲しかった。
なんとかお願いします、と言っても、「それはあなたの問題でしょ。」の一点張り。
結局、最終手段として、友人から金をかき集めて、月曜日の朝に振込み、振込み票をファックスして、チェック原稿を納品してもらったが、朝9時から午後3時までの間にかなり量のチェックをするのは不可能。
仕上がり原稿は、ロシア語としてはネイティブということもあってこなれているが、細かい点が雑で、いろんなディスクレパンシーがあった。
私は納品前には、ネットカフェで最終チェックをすることにしている。環境を変え、気分を変えて、翻訳前原稿と自分の後原稿を見比べ、逐一細かくチェックして、商品として完璧なものを提出するようにしている。
それが、この仕事ではタイムアップで十分にできなかった。非常に心残りであったが、締め切りは絶対なので、しぶしぶ提出した。
いいかげんな仕事をするのは本当にいやである。
しかし、責任は納品者である私なので、誰をも責めることはできない。
翻訳に限らず、ビジネスの世界では、ある程度信頼関係で仕事を進めないと、うまく回っていかない。
融通のきかない人とは仕事はできないので、次回からは別の人にチェックを頼むつもり。
2006年7月15日
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