法的千年王国と実際的千年王国
<O様>
ルカ伝を岩波訳で読んでデボーションしておりましたところ、次の2箇所が目にとまりました。
「(11:20) しかし、もし[この]私が神の指によって悪霊を追い出しているのなら、神の王国はお前たちの上にまさに到来したのだ。」
「(17:21b)見よ、神の王国はあなたたちの[現実の]只中にあるのだ。」
これらの文中「神の王国」と「千年王国」との関係について御教示下さい。
<tomi>
アダムが堕落してから、この地上は悪魔の王国になりました。
神は悪魔の王国から人間と領土を奪還するために、まずは家族の単位で、後に、民族単位で神の王国を作られました。つまり、まずはアダムからセツ、ノア、アブラハム、イサク、ヤコブという家族単位での王国を、そして、後にモーセの元で、民族単位の王国を作られました。
これらは、たしかに神の王国なのですが、しかし、王が罪人であるために、不完全なものでした。
王であるノアもアブラハムもダビデも、罪人であり、また、それに連なる王国の国民も罪人であったために、それは永遠に続く王国ではなく、「予型」でしかありませんでした。幾多の失敗のゆえに、他の国々からの支配や侵略を受けなければなりませんでした。
イスラエルの罪に起因する悲惨な歴史の中で人々は、本当の王国の到来を待っていました。
本当の王国は、イエス・キリストが王となる王国でなければなりませんでした。
旧約の預言者が預言したとおりに、イスラエルの真の王様であるイエス・キリストが誕生され、復活され、そして、昇天され、全世界が神の御国となりました。
イエス・キリストは無罪の王であり、それに連なる民(クリスチャン)は無罪の民です。(実質的にはクリスチャンは罪人であるが、法的な意味で無罪。)
それゆえ、この御国は永遠の御国であり、何者もキリストの支配を覆すことはできません。
この後、地上に現われたすべての国は、イエス・キリストの王国の属州であり、ローマ帝国も日本もアメリカも、すべてはイエス・キリストという王の命令と許可のもとに自分の領域を支配しているに過ぎません。
仮にソ連がイエス・キリストに逆らい、クリスチャンを迫害したとしても、それは、「王国内部の謀反」でしかありません。
なぜならば、イエス・キリストは、「天においても、地においても、一切の権威が私に与えられました」と「王権宣言」をされたからです。
昇天以降、すべての王国や王、王権は、キリストの主権=千年王国に従属する「副主権」でしかありません。
今の世界はすべてことごとくキリストの千年王国であり、その中で悪霊が暴れたとしても、それは属州の反乱、一揆のようなものであり、我々クリスチャンは、キリストの指令のもとに、これらの反乱分子を掃討する責任があります。
「法的に」、全世界はキリストの王国であり、クリスチャンはキリストとともに世界の王です。
しかし、「実際的に」は、キリストは王ではなく、クリスチャンも王ではありません。
歴史は、法的な事実を実際的な事実に変えていく過程であるといえます。
日本に帰化したブラジル人が、最初のうちは日本語も話せず、日本の習慣にもなじめないが、時間がたつうちに日本語を上手にしゃべり、日本の生活にもなじんでいくことによって、「法的日本人」から「実際的日本人」に変わっていくのと同じです。
このことは、私たち個人の変化についても言えます。
私たちクリスチャンは、イエス・キリストを救い主として信じた時に、完全に聖くなったのです。
神の御前で私たちは「完全な聖人」です。どこも責められるところはありません。イエス・キリストを信じる信仰によって、完全に聖められています。
しかし、それは、「法的に」です。法的立場が変化しただけです。
実際の生活については、クリスチャンとは名ばかりで、ほとんど世の人と変わりありません。
しかし、クリスチャンは神の訓練を受けることによって、徐々に聖化され、次第にクリスチャンらしくなっていきます。
「実際的な」クリスチャンになっていくのです。
もし、何年たっても聖化されていなければ、自分が最初に法的に聖められたかどうか(つまり、本当に信仰したのか)振り返る必要があるでしょう。法的な立場が変われば、実際的な立場も変わるはずです。
この世界は、すでにキリストの千年王国です。しかし、それは、「実際的な千年王国に変わりつつある過程」でしかありません。まだ、その中には多くの悪霊が暗躍しています。追い出しが必要です。
クリスチャンには、それを実際の千年王国に変える責任があります。
2005年1月19日
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