ディスペンセーショナリズムのプレ・ミレ批判の映画


Antoine Fuqua監督、Alex Lasker & Patrick Cirillo脚本、ブルース・ウィリス出演の"Tears of the Sun"(邦題『ティアーズ・オブ・ザ・サン』、2003年)は、ディスペンセーショナリズムのプレ・ミレを強烈に批判した映画だ。

監督や脚本家がどのような宗教的背景にあるか分からないが、そのメッセージは、ディスペンセーショナリズムのプレ・ミレの「この世は悪魔の世だから悪と戦っても無意味だ」という考え方の痛烈な批判に思えた。

あらすじ:


米国海軍特殊部隊シールで、任務遂行に100パーセントの実績を誇るウォーターズ大尉(ブルース・ウィリス)は、内戦の激化したナイジェリアからアメリカ国籍の女医リーナ・ケンドリックス(モニカ・ベルッチ)救出を命じられ、精鋭部隊を率いてジャングルの奥地へ赴く。

ところが、肝心のリーナは難民と一緒でなければこの地を離れることはできないと救出を拒否する。

一旦は無理矢理リーナのみを救出用ヘリに乗せ飛び立ったものの、上空から難民の惨劇を目にしたウォーターズは命令を無視して引き返すのだった…。

http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD3639/?flash=1

「神はアフリカから去った」とつぶやきながら、現地人を見捨て、無理やりアメリカ人の女医だけを乗せてヘリを出発させたウォーターズ大尉。

病院として使用していた教会の上空にヘリがさしかかったときに、眼下に広がっていたのは、反乱軍の襲撃を受け、焼け落ちた建物とその周りに転がる多数の死体だった。

まさに携挙によって天に挙げられ、自分が救われることで満足し、悪魔に蹂躙されているこの世界を救うことに無関心なプレ・ミレ思想に支配されているアメリカのクリスチャンの姿を示しているではないか。

映画の最後に、次のエドマンド・バークの言葉が映し出される。

All that is necessary for the forces of evil to triumph is for enough good men to do nothing."

世に悪がはびこる唯一の条件は、善人が無為無策になることである。

案の定、この映画はアメリカでは不評だったという。

 

 

2006年2月16日

 

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