私は、健康を目的とした禁酒や禁煙を否定するつもりはない。
しかし、今のクリスチャンやキリスト教の常識に「禁酒や禁煙」が含まれていることは異常だと思う。
あたかもそれが宗教的戒律のようなものになってしまっている。
これは、重大な間違いであり、非常に危険である。
こういうわけですから、食べ物と飲み物について、･･･だれにもあなたがたを批評させてはなりません。
これらは、次に来るものの影であって、本体はキリストにあるのです。
あなたがたは、ことさらに自己卑下をしようとしたり、御使い礼拝をしようとする者に、ほうびをだまし取られてはなりません。彼らは幻を見たことに安住して、肉の思いによっていたずらに誇り、
かしらに堅く結びつくことをしません。このかしらがもとになり、からだ全体は、関節と筋によって養われ、結び合わされて、神によって成長させられるのです。
もしあなたがたが、キリストとともに死んで、この世の幼稚な教えから離れたのなら、どうして、まだこの世の生き方をしているかのように、「すがるな。味わうな。さわるな。」というような定めに縛られるのですか。
そのようなものはすべて、用いれば滅びるものについてであって、人間の戒めと教えによるものです。（コロサイ2･16-22）
「食べ物と飲み物」に関する旧約聖書の規定は、「次に来るものの影」であり、「本体」ではない、とパウロは言う。
そして、こういった旧約聖書の規定を守らせようとする人々のことを「肉の思いによっていたずらに誇」る人々と呼ぶ。
私には、今のクリスチャンの禁酒・禁煙が、「肉の思いによっていたずらに誇」ることになっていると感じる。
それをもってクリスチャンであるかないかを区別し、信仰的か信仰的でないかを区別する基準となっているように思える。
これは、傲慢である。
聖書に規定されていないことをことさらに重視する。
「だって、酒やタバコは健康に悪いでしょう。我々の体は神の宮なのです。すべてにおいて神の栄光をあらわすべきではないですか」というだろうか。
ならば、どうして「政治や経済は別だ。クリスチャンは政治に関わるべきではない」というのか。
すべては神の領域と信じるのだろう？
なぜ特別な領域を作るのか？
なぜ神が介入できない領域を作るのか？
首尾一貫していないだろう。
もし酒やタバコを全的献身の基準として提示するならば、政治や経済について、この世界全体について、どうして聖書を適用しないのか？
何らかの食べ物や飲み物を信仰・不信仰の基準として持つことは、「すがるな。味わうな。さわるな。」という「この世の幼稚な教え」であり、「この世の生き方」「人間の戒めと教えによるもの」である。
今日の教会における禁酒・嫌煙の戒律化は、偶像礼拝であり、「滅び」に向かわせる「縛る定め」である。