ビザンチン本文によるヨハネ福音書1章27節


ヨハネ一章において、ビザンチン本文(マジョリティ・テキスト)とアレキサンドリア本文(ウェストコット・ホート本文)と大きく異なる箇所は、3つほどある。
http://www.greeknewtestament.com/B43C001.htm#V27

まず、ヨハネ福音書1章27節について述べる。

http://www.millnm.net/qanda3/John1_27.htm

アレキサンドリア本文には、大きな省略がある。

その省略は、新改訳など、アレキサンドリア本文、ウェストコットとホート理論に影響された翻訳に反映されている。

ビザンチン本文では、


「彼は、私の後にやって来る方で、これまで私の前に現れたことがないお方である。私は彼の靴の紐を解く値もない。」と訳することができるが、

アレキサンドリア本文は、

「私の後に来る人、私は彼の靴の紐を解く値もない。」

と訳することができる。

つまり、アレキサンドリアでは、この「これまで私の前に現れたことがないお方である」が省略されている(赤字部分)ことがわかる。(*)


(*)
この箇所は、キング・ジェームズ訳では、「私よりも好まれたお方である(who is preferred before me)」と訳されている。原文は、以下のとおり。

os emprosqen mou gegonen ou

この部分をどう訳するかなのだが、gegonenはginomaiの直説法完了時制で、「現れた(そして今も現れている)」という意味である。

osは関係代名詞、emprosqen mouは、「(場所的に)私の前に」という意味。

ouは直説法動詞を否定するから、

「私の前に現れていない人」となる。

 

 

2010年4月8日

 

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