http://www.mises.org/fullstory.asp?control=1524
において、
日本では良い面ばかり強調される北欧福祉国家デンマークの現状が紹介されている。あまりにも税金が高いので家族は車一台買えないそうだ。
デンマークでは、重税によって、…1世帯の収入だけでは家族を養うことができない。1世帯の収入では家を建てることも、1、2台の車を持つこともできない。
このため、両親はフルタイムで共働きせねばならず、しかも、それだけ働いても、ほとんどの場合、固定経費を払った後で手元に残る収入はごくわずかなのである。
このことは、子供がいる家庭の平均貯蓄率が低く、子供がいる家庭では両親がフルタイムで仕事をしている率が高いことからも証明できる。
厳しい経済状況は家族を圧迫しており、両親がフルタイムで働く環境も時間の面において家族にストレスを課している。
国家が家庭の代役を果たし、家庭の崩壊を促進している。
福祉政策とそこから得られる利益によって、経済的支援単位としての家族の役割は非常に小さくなっている。
シングルペアレントになっても、国からの手厚い援助がある。病気や不具、妊娠などにおいても政府からの支援がある。
これらはすべて、かつては家族が担っていた仕事である。
政府は保育所や幼稚園に援助金を出し、子育てが家族から国の手に移っている。
これらの公立の施設には国の援助があり、利用しやすいうえ、一世帯の収入では何もできないということもあって、子育てはますます施設に委ねられることになっているのだ。
国が家族の代役を果たすために利用しているのは公共交通機関である。
子供を持つ家族にとって車は大きな助けである。しかし、不幸にも、デンマーク福祉国家は、国民に公共交通機関を利用させようとしており、多額の資金を提供している。車やガソリン、保険には重税が課せられる。…これらの税金そのものが多くの若い夫婦の家庭にとって障害となっている。
同時に、国は公共交通機関に多額の援助をしている。人々が車から公共交通機関に切り替えるように、様々な妨害手段が講じられている。迂回路の高額な利用料、道路に故意に作られたこぶ、狭い道路、自転車や歩行者のために第2レーンを封鎖する、新規に道路を建設しない、電子速度制御、駐車場の廃止、高額な駐車料金、交通違反の高額な罰金、…。
小さな子供を持つのに車を利用できないことや、たとえ車を持っても、重税が課せられたり利用を妨害されるため、専門化と労働の分業が進み、生活の範囲が近隣の家々に限定されていた昔とは違った社会に住んでいる現代のデンマークの家族は大きなストレスにさらされているのだ。
現代の福祉国家は、マルクス主義の発案である。
この福祉国家は、家庭の代わりに国が子供の教育を担い、子供を国が専有することを目指すものである。
これは聖書が教える社会制度とは正反対のものである。
聖書は、まずアダムを選び、そして次にアダムにエバを与え、家庭を作らせた。
そして、この家庭に「地を従えよ」との命令を下された。
そのため、家庭とは社会の最も基本的な単位であり、これを破壊し、国家に従属させるのは、神への反逆的政策である。
聖書は、家庭における相続を非常に重視している。
それは、相続を通じて、信仰的家族の力が増大するからである。
神の御心は、神に忠実なクリスチャンの家庭が財産を蓄積して、子供に信仰を継承させ、さらに強い信仰を持たせて、この地上を次第にクリスチャンの社会に変えていくことにあるのだ。
マルクス主義はこれを妨害したかった。
そのためには、まず家族を弱体化させ、家族から財産を奪い、教育権を奪うのが一番だと考えた。
今、このプログラムを採用したデンマークの社会を見て欲しい。
福祉が充実しているということで、日本のエセ知識人はこの国を賞賛してきたものだ。
しかし、実情は「社会の崩壊」である。
国が家族に介入し、重税などを課して、家族の存続を不可能にしているため、結婚制度が崩壊した。
マルクス主義を導入した他の国と同じようにこの国においても、晩婚・少子化により、国力の急速な弱体化が進んでいる。
同棲が常態化し、3分の1の成人が未婚で、独居している。
離婚率は1950-1975年には18%だったのが、1975-2000年には37%に増加。
女性の平均出産年齢は、1970年に26.7歳だったのが、2002年に、29.9歳。
初産年齢は1970年に23.7歳だったのが、1996年には27.7歳。
40歳で子供がいない女性は、1985年に9%だったのが、2002年には13.3%に増加。
出生率は、1965年には2.6人だったのが、2002年には1.7人に減少。
もちろん、女性の社会進出など、産業構造の変化という原因もあるだろうが、しかし、重税と、国家による意図的な反家族的政策がこのような結果を生んだ大きな原因であると考えられる。
クリスチャンは、家族に力を取り戻し、地を従えよとの神の命令を成就するために、マルクス主義によって破壊された社会を再建しなければならない。
そのために、国家のこれ以上の、様々な分野への介入を排除し、税金を減らし、福祉国家が幻想であり、搾取の隠れ蓑であることを暴かねばならない。