市場の裁きを受けない事業を「全部」つぶせ
昨日、TVで次回の事業仕分けの対象としてあげられたなんとか特殊法人が紹介された。国内の林業の情報を海外に提供するとかの国際貢献にかかわっているという。詳しい内容は失念した。
職員の給料は20万円でボーナスはないという。
たしかに、これだけ聞くとそれほど国の財政にとって有害ではないように見える。
しかし、合計で毎月数百万の経費であっても、それが費用対効果で経済的にマイナスであればカットすべきだ。
なぜならば、民間は一人20万円の給料を出している場合、彼らの福利厚生など含めるとかなりの経費になり、その経費を上回る収入を得る場合に、相当な努力を要求されるからだ。
経費をまかなえない場合には、どんなにその会社が社会貢献していて、意義があっても消えるしかない。
意義があるサービスであるかないかは市場が決定する。
これが民間の現実である。
そして、この現実がない限り、どこかにそのマイナスのつけが回る。
なぜならば、必要とされていないものが通用し、それが相当の利益を作り出していないからだ。
そのぶん無駄が増えて、誰かが負債を背負うことになる。その市場における価値を見積もることに失敗した銀行が不良債権という形で背負うことになる。もしくは、投資した株主が損失をこうむる。
だから、銀行も株主もその会社の実力をシビアに評価する。責任を負わないですむには、この審査の能力が問われるわけだ。
このようにして、市場の裁きを中心とする社会は、「理念ではなく現実に即して」活動するので、全体的破局を回避する可能性が高い。
しかし、特殊法人のような市場の裁きを免除されている事業は、このような審査の外にいるので、理念が先行し、現実から乖離する可能性が高いので、国という親組織の破局に貢献する確率が格段に高い。
結論から言えば、警察や裁判所など国でしか行うことができないもの以外すべて事業仕分けでつぶしてしまうことだ。
林業の情報提供がどんなに必要で有意義であっても、それが市場の要求にかなっていないのであれば、「経済的に」意義がないのでその組織はつぶすべきだ。
もしそれを生き残らせたいなら、民営化して独立採算でやれ。
生き残れるかどうかは市場が判断するので、結果はすぐに出るだろう。
それに対して銀行が金を貸すか。株主が投資するか。
客が商品やサービスを求めるか。
こういったシビアな審査によってふるいにかけられるだろう。
だめなら、倒産する以外にない。
倒産することによって、市場は、費用対効果がすぐれている会社に金が回り、さらなる経済的発展がみこまれる。
事業仕分けで、特殊法人側の「これは意義があるのです」という説明を受け入れるものは全部だめな政治家なのだ。
経済的に意味がないものを生き残らせることによって、経済社会全体の熱を冷やす。
市場の裁きを受けない事業を「全部」つぶせるかどうかに、民主党の存命がかかっている。
2010年3月11日
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