円高で日本経済が破綻するという迷信


いま中国のネットでは「日本殺すにゃ武器要らず」という戯れ歌が流行っている。
1.すべての日本商品をボイコットする
2.レアアース(希土類)の日本向け輸出をストップする
3.有り余る中国マネーで円を買って極端な円高にする
 この3つで日本を滅ぼすという内容だ。今回は1、3を実行するまでもなく2だけで日本は大騒ぎになった。
 
 日本との関係を悪くしても、中国には何の不利もないということもわかった。
 今や日本は完全にナメられてしまったので、これから中国はますます強気になって要求がエスカレートするだろう。
※SAPIO2010年11月10日号
http://www.news-postseven.com/archives/20101025_4206.html

あの大前研一をもってしても、中国の洗脳から抜け出すことができない。

この洗脳から抜けるためには、三橋貴明氏の『本当はやばくない日本経済』を読むべきである。氏は、中小企業診断士として、企業の財務状況を判断する手法を用いて日本の財政を評価している。

国家の財政は、一つの組織経営であるから、単なる経済学者の机上の判断ではなく、企業診断という実践手法がより適切であろうと思う。

企業の診断には何重ものチェック項目があるという。そして、それらのチェック項目、ファクターを精査した結果、ある診断が下される。

この技法を国に応用すると、日本経済は本当はやばくないというのだ。

まず、日本が借金大国だというのは嘘。日本に金を貸しているのは、日本人である。外国人ではない。だから、家庭の中で貸し借りをしているようなもの。だから、債務不履行でデフォルトなどということは絶対に起きない。

日本は、アルゼンチンとかギリシアとは違うのだ。

むしろ、日本は、対外純資産世界一の超優良財務を持つ国である。

日本は世界一金持ちの国なのだ。

この著者の主張から先の問題について考えてみると、この3つの点のいずれも日本にとっては痛くも痒くもない。

1.中国に商品を買ってもらわなくても大丈夫。
なぜならば、日本経済は内需で成立しているから。外需依存率1.6%。

2.レアアース(希土類)の日本向け輸出を中国がストップしても、他から買えばいい。中国人が馬鹿なのは、レアアースが中国だけの産品だと誤解しているところ。市場経済では、供給先を選ぶことは自由。

3.有り余る中国マネーで円を買って極端な円高にしても、円高にしたら、輸出は困るが、輸入は助かるので、相殺される。すでに言いましたように、外需依存度(輸出ー輸入/GDP=)1.6%です。まったく影響はない。

円高で影響が出るかのように考えているのは、マスコミを通じて中国の洗脳が進んでいるからだろう。

外需依存度は中国のほうが大きいので、ドル安で滅びるのは中国のほうが先。

戦後外貨を獲得しなければならなかった日本にとって輸出の黒字は経済を測る指標になったのだろうが、外貨保有量が世界一である今はその尺度を適用してはならない。

それにもかかわらず、昔のイメージのままに考えるから、株価に反映するのだろうと思います。つまり、円高と連動して下がる株価は、一つの風評被害なのだ。

迷信:
1.日本は貿易に依存している。
2.円高は日本にとって打撃だ。
3.日本は資源が少ない。

我々は、こういう迷信から脱却すべきだ。

 

 

2010年10月25日

 

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