世界政府は問題の解決にはならない
世界政府に期待する知識人がまだいる。
アインシュタインは社会主義者で、世界政府の樹立に希望を置いていた。
「このような不幸[tomi注:核兵器による悲劇]を防ぐ道は只一つ、これらの兵器を確実に管理し、従来戦争突発の原因となったようなあらゆる問題を解決する機関と法的権限をもつ世界政府を樹立することである」と述べたという(萬晩報 コラム配信ジャーナリズム――2005年02月28日(月)中澤英雄氏『アルベルト・アインシュタインと日本』より引用)。
今日の多くの知識人、そして、宗教家と言われる人々たちが世界平和の最後の手段として選び取ったのが、世界政府による核兵器の一元的管理である。
このような解決法は何の役にも立たない。
なぜならば、「人間は例外なく罪人であり、サタンに魂を売り渡した人である」という聖書的現実を無視しているからである。
歴史を振り返ろう。
人間に信頼して、人間の叡智に期待した体制が何を生んだか?
共産主義によって一億人の人々が粛清されたことを忘れたか?
ソ連には、いたるところに労働者の銅像が立っていた。
その像に掘られた労働者たちは、自信に溢れ、理想に燃える若者の姿であった。
民衆は実態を知っていた。ソ連という国が外面だけの欺瞞的体制で、こんな若者など一人もいないということを。
これらの像や、『共産党に栄光あれ!』『レーニン主義に基づいて勤勉に働こう!』など、いたるところに掲げてあるスローガンを一目見ただけで、この国が宗教国家であることを誰もが悟ることだろう。
そう。ソ連とは、人間を信じる宗教=ヒューマニズムが作り出した実験国家だった。
この実験国家は万人の目の前で崩壊した。
残念ながらほとんどの人は、この実験に対して総括を行っていない。
いったいこれが何のために存在したのか、考えようとしない。
収容所で亡くなった無数の人々の苦しみにいかなる意味があったのか振りかえろうとしない。
私は、これこそが本当の意味の不幸だと思う。
なぜならば、ちゃんとした総括を行わなければまた同じことをやるからだ!!!
今日知識人が世界統一政府を求めているのは、社会主義の実験をきちんと総括していないからである。
あれは、ただ単なる一過性の流行病のようなものではない。
人間の本質を露にするきわめて根源的な問題を提供していたのである。
つまり、「人間は自分を救えるのか?」という問題である。
高校時代、共産主義者の教師が「ソ連は、社会主義ではない。あれは失敗作だ。」と言っていたが、「本当にそうか?」と思った。
ソ連だけではなく、東欧諸国、東ドイツ、北朝鮮、カンボジア、ベトナム・・・。みんな同じような運命をたどったではないか。
ソ連だけが特別だなんて信じられるか?
『キリング・フィールド』という映画に登場するポルポト軍の兵隊たちを見て、「正義を振りかざした傲慢な人間が、英雄となり、政権を取ると恐ろしいことが起きる」と感じた。
正しいことをやっていると自覚している人間は謙遜になるべきだ。
傲慢な『正義の味方』ほど怖いものはない。
所詮だれがなろうが同じこと。
罪人が世界の武器を統一的に管理するなんてできっこない。
実際国連を見たまえ。60年で壮大な無能官僚組織ができあがった。
聖書は、人間ではなく、御言葉を信じろと教えている。
人間の無力を悟って、キリストの救いを待ち望よう命令している。
「わたしによらなければ誰も父のみもとに行くことはできない」
2005年3月1日
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