マスコミに騙されない本当の景気回復
例の三橋氏と日下公人氏の近刊の対談書『アメリカ、中国、そして日本経済はこうなる』(WAC BUNKO) によれば、今の不景気の原因は、日本が弱っているからではなく、風評によって日本経済がやばいというマスコミに踊らされた国民が守りの姿勢に入り、お金を使わず、貯蓄に回すようになったからだという。ストックは十分にあるが、フローが停滞している。マネーフローを活発化し、国民がお金を使うようにしなければならないと。
その対策として、三橋氏は、政府による財政出動を唱えるが、日下氏は、無用な規制を撤廃してビジネスチャンスを広げることを挙げている。
若手の指導者として台頭した三橋氏の最大の弱点がここにあると思った。つまり、ケインズから離れられないのだ。
日本は今ものすごい額の負債があるというが、実際には、それは政府の負債であって、日本国の負債ではない。ほとんどが国民からの借金である。だから、家庭の中で貸し借りをしているような状況であり、いざとなれば政府が国民の貯金を半額にし、負債を帳消しにすればよいと日下氏。
外貨準備高において、日本が中国に抜かれて世界第二位に落ち込んだというが、外貨準備高は本当の資産を現さない。本当の資産は、対外資産から対外負債を引いた対外純資産であり、これは、日本は中国の二倍ある。
日本は、文字通り世界第一の金持ち国であり、その資産は、金利だけで暮らしていけるくらいの巨額である。
このように現状は、今までの日本人の勤勉によって築き上げられた世界歴史上未曾有の資産である。
三橋氏のようにケインズ的財政出動を続けていけば、これからも政府の負債は増え続けて、ついには日本国民の資産を食い潰すことになりかねない。
だから、マネーフローを増やすには、規制緩和、小さな政府に方針を転換するしかない。
多額の税金を集めて、それを「所得再分配」するというマルクス主義的手法を捨てて、減税によって、「がんばった人の可処分所得を増やす」体制を作ること。それだけでは、日本人はまた貯蓄に走り、企業も内部留保を増やし、国債を買うだけになるから、大胆に規制緩和して、自由な経済活動を保証すること。
インフレ誘導して、市場を刺激する方法は、いずれ破綻するから、とにかく小さな政府にするしかない。
そのように私は思いました。
2010年6月21日
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