人間にほれ込むな2
人間にほれ込んでクリスチャンになった人は、「人に頼る」という習慣から抜け出ることが難しいと思う。
しかし、聖書は、そのような幻想の世界を冷酷なほどに否定している。
再び言うが、人間は下衆である。
岩波書店の創始者岩波茂雄は、内村鑑三の弟子だった。
しかし、ある時、内村に強烈な不信感を抱く。
『人間内村鑑三の探求』(畔上道雄著)によると、内村の荷物を持って歩いていた岩波を前にして、内村が「人夫を雇わなくてすむから都合がよい」という内容のことを漏らした。
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/09485352
内村のような天才で、傑出した人間には、強烈な自我があり、それが常人では理解できないような言動を生むことがある。
だから、人間に信頼などできないのである。
人間関係中心で成立しているような集団は、早晩瓦解する。
最近、ハリウッドで家族愛が強調されるようだが、見事にすべて崩壊している。
夫婦でも、家族でも、会社でも、どのような集団でも、「互いに愛し合う」とか「互いに助け合う」というような「人間関係を最終目標とするような」目標をたてると、逆に崩壊するのだ。
「私を愛して」という女性は、永遠に愛を受けられない。
それは、渇きを癒すために、塩水を飲んでいる愚か者に似ている。
求めれば求めるほど愛への飢え渇きは増す。
愛を感じたいならば、「与えること」である。自分のことを忘れて、他者のために働くことである。
愛のグループを作りたいなら、「愛し合うことを目標にして、それに集中するのではなく」、何か共通の建設的な仕事を共同で行い、具体的な目標を設定してそれを全員で目指すことである。
目を互いに向け合うと、際限のない不満が出てきて収拾がつかなくなる。
夫婦円満の秘訣は、互いに見詰め合うことではなく、互いの欠点を忘れて一つの目標に向かって共同で働くことである。
忙しくすることによって、個人的な欠陥について忘れることである。
もちろん、向き合わなければならない場合もあるが、たえずそんなことをしていたら、みんな欠陥だらけなので、際限なく争いが広がるだろう。
ハリウッドの俳優が「仕事よりも家庭のほうが大切」と言う言葉に影響されると、逆の果実を刈り取るだろう。
ハリウッドの恋愛至上主義に毒され、結婚において、夫の仕事を助けるよりも夫からの愛情をしきりにねだる登場女性のまねをして、奥さんが「愛して」病にかかれば、旦那にとって彼女は助け手ではなく、むしろ、お荷物になってしまうだろう。
人情を中心に団体を作るとよどむ。
私はこのことを何度も見てきた。
2007年6月2日
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