経済学者は小さな政府を唱えよ


三橋貴明氏の本は何冊か持っていて非常に興味深いし、これからの日本の経済に関する指導者として人気が高まっている。

ただ、気になるのは、景気を刺激するには、公共投資をして、需要を喚起するしかないという考えだ。これはケインズの考えであって、真の意味では解決はない。

公共投資は、政府主導でお金を使う方法であるが、政府は、事業をするには最悪の機関である。なぜならば、市場の論理に従わないからだ。

市場では需要と供給で動いている。しかし、税金を投入する方法は、別の原理で動く。それは、「理念」である。

しかし、警察や裁判所など国しかできないもの、制度以外については、需要と供給で動く社会に理念を持ち込むと、ゆがみしか生じない。

たとえば、TVの番組で見たが、昆布漁の漁村に公費でコンクリートブロックを沈める役所の仕事を見ていた漁師が「あんなところに沈めても昆布はつかねえ」と嘆いていた。

事業というものは、民間がやる以外には「費用対効果」がすぐれたものはできない。

なぜならば、民間が投資する場合、そのお金は自分のお金(もしくは借り入れのお金)でやる。

だから、使い方には最高の注意を払う。

投入した後でも、できるだけコストをおさえることに注意するが、公費で行った場合に、コスト感覚は鈍る。

税金を投入し、自分の懐が痛まないので、ジャホジャホ無駄遣いをする。

だから、公共投資で景気をアップするという方法は短期的には通用するが、長期的には毒なのだ。

短期的に有用であるモルヒネが長期的に体にとって害があるのと同じだ。

だから、日本の経済学者が本当の指導者になれるには、長期的に、減税を行って、政府が事業に関わる度合いを最小限度に抑えるという理論を唱えなければならない。

マルクスが終わったのと同時にケインズも終わった。

減税による小さな政府に人々を指導する以外に経済学者としての成功はない。

 

 

2010年6月6日

 

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